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漆黒の猫貴族  作者: オヤジ
第一章 幼少期編
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第二十九話 猫貴族、同級生と自己紹介する


始業式の後は各クラスに分かれてそれぞれの教室に向かった。


「俺はクルト。めんどくせえけど今日からお前らの担任だ。じゃあお前ら自己紹介よろしく~。適当にやっててくれ~」


このめんどくさそうに話す髭を生やした中年のおっさんがSクラスの担任らしい。


「おいおい。お前らそんな不審者見るような目で見るなよな!俺はこう見えても侯爵家出身で貴族だぜ?怪しい奴じゃねえから安心しろよ!じゃ、お前からだな一位」


「ルーク・ロッソです。仲良くしてくれるとありがたいです。好きなものは猫です」


「ぷっ…ルーク!君は最高だね!なんだいその挨拶は。私はクリストファーだ。ルーク同様仲良くしてくれると助かる。王孫という身分ではあるが、せっかく同じクラスになったんだから普通に接して欲しい」


「はぁ…ルークも王子も。これは先が思いやられるね。僕はルドルフ・ブローニュ、父上は西の辺境伯領を預かっている。王都のことはあまりよく知らないから教えてくれるとありがたいかな」


「ティア・ネーロです。ルーク君とはこ…従兄妹です。今まで同年代のお友達がいなかったので、みんなと同じクラスになれて嬉しいです」


「わたくしは、アンナ・シルベストルでございますわ。そちらにいるクリストファー様の婚約者ですの。クリストファー様共々よろしくお願いいたしますわ」


ティアの次に挨拶したのは金髪縦ロールのザ・お嬢様な女の子だった。

しかし、嫌みのある感じではなく、ただただお上品なお嬢様という感じで育ちの良さが感じられる好印象な女の子だ。


「ども!カイト・マーベルっす。貴族っつても男爵家なんで平民みたいなもんっす。王子が普通にって言ってくれてたんで普通にさせてもらうっす」


六位の男の子は青髪短髪の少しチャラそうな子だった。わざわざ男爵家を蔑むような挨拶に軽薄そうに見せる口調。多分敵を作らないための彼なりの処世術なんだろうな。


「ちょっと!起きるっすよ!あんたの番っす」


「あと5分…むにゃむにゃ」


「なに寝ぼけてるんすか!今学園っすよ!」


「ん…あぁ。寝ちゃってたみたい。ジョセフ・ブルノン、好きなのは寝ること」


赤茶色の髪をした糸目の男の子で東の伯爵家の息子らしい。

ルドルフは同じ西に領地がある貴族家同士で顔を合わせたことがあるらしく、ここにも問題児か…と頭を抱えていた。


「レーナです。貴族の皆さまにおかれましては…」


「いや、レーナ本当に普通にしてくれて構わないよ。ここにいる貴族はそんなこと気にする人間はいないしね。ジョセフなんて見てご覧よ。王族を前にまた眠ってるよ」


「で、では普通に話させてもらうわ。あたいはレーナ。実家は王都の市民街で宿屋を経営してるわ。冒険者と話す機会が多くて少し口調が粗いかもしれないけどよろしくね」


ピンクの髪を一つにまとめた裏表のなさそうな明るい印象を受ける女の子だ。


「うちはケイトいいます。実家はグリフォン商会いう商売やらせてもろてます。みなさん、入用の際はどうぞうグリフォン商会を御贔屓に」


関西弁のような話し方で手をにぎにぎさせて話す胡散臭そうな彼女の実家グリフォン商会は王国内で一、二を争う大きさなのだそうだ。


「アダンです。家は市民街で満腹亭って食事処をやってます。僕も料理が得意です」


「え、アダンそれ本当?この前行ったけど、本当美味しかったよ。あー思い出したらお腹減ってきたな」


「来てくれてたんだ!次からはアダンの友達って言ってもらったらサービスするように父さんたちに言っとくね」


いつの間にやら起きていたジョセフがアダンに詰め寄っていたが、この寝坊助は食いしん坊でもあるようだ。属性持ち過ぎでは…?

まぁアダンは緑がかった白髪で、客商売してるだけあってハキハキと話す気持ちの良い男の子だった。


みんな良い子そうだけど、ちょっとクセが強いな…


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