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漆黒の猫貴族  作者: オヤジ
第一章 幼少期編
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第二十八話 猫貴族、学園へ入学する


お披露目会から一週間が経ち、入学式の日がやってきた。

あの後王宮から連絡が来て、入学試験の実技試験は免除とする旨の連絡が届いた。

決闘の様子を見た陛下や、宮廷魔術師団、近衛騎士団のそれぞれの長が十分以上な力を持っていることを認めたため、わざわざ試験を受ける必要はないとのことだった。

なので試験日には筆記試験のみを受験してきた。

これまで母さんに教えられてきたことばかりだったので、かなり出来たんじゃないかと思っている。


そして、決闘した子豚君ことノーナイは廃嫡されたとの噂は耳にしていないので、無事スパイとして活動を始めているようだ。

今後、子豚君には定期的に貴族派の動きや噂をこちらへ知らせるようにしてある。

ただ、今回の件で面目を潰されたマクベス公爵家とスッカラーン伯爵家からは恨みを買った可能性が高く、今まで以上に注意して動かなければならないだろう。


また、専属執事として雇ったヴィクターだが、今後のことを考えて冒険者ギルドにて冒険者登録をしてもらうことにした。

冒険者ギルドとは、大陸中にまたがる国に縛られない機関で、街の困りごとや魔獣の駆除・討伐などの依頼を集め、所属する冒険者に仕事を割り当てる役割をしている。

冒険者になると、魔獣素材を高く買い取ってもらえる上、ランクが上がると国家間移動もしやすくなることから、僕も登録可能となる8歳を機に登録するつもりでいた。

今回ヴィクターに先に登録してもらったのは情報の収集と、僕の保護者役として先に少しランクを上げておいてもらうことで活動しやすくなると考えたからだ。







入学式が始まり指定された席にて現在学園長のためになるお話を聞いているのだが、困ったことになった。


Sクラス

一位 ルーク・ロッソ…194点

二位 クリストファー・ビヤンコ…190点

三位 ルドルフ・ブローニュ…186点

四位 ティア・ネーロ…170点

五位 ――――――――――


試験免除の影響もあり、殿下の点数を超えてしまった。

主席には入学者代表挨拶なるものをしなければならない義務があるらしく、入学式で挨拶する羽目になってしまった。

唯一の救いだったのが、マクベス公爵家やスッカラーン伯爵家の息子たちが成績最優秀者のSクラスではなくAクラスやBクラスになったことだろう。


「…であるからして諸君らの検討を祈る」


ようやく学園長の挨拶が終わったようだ。

話が長かったこともあるが、次の代表者挨拶で頭がいっぱいでほとんど話を聞いていなかった。


「新入生代表ルーク・ロッソ君前へ」


促されるままに壇上へ上がり、他の生徒や保護者が座る席を見渡した。


(両親やティアがニコニコして見ているが、凄い形相でこちらを睨んできてる奴がいるな…あれはブランデン・マクベス。マクベス公爵家のお坊ちゃんか)


「ご紹介に預かりましたルーク・ロッソです。本日は無事入学を迎えられ嬉しく思っています。また、こうして迎え入れてくれた学園の関係者や、これまで育ててくれた両親にお礼の言葉を申し上げたいと思います。僕は貴族の息子という立場ではありますが、学園の理念に従い、身分に拘ることなくたくさんの友人を作り、切磋琢磨していきたいと考えています。そしてこの学園の仲間たちとともに、自分たちの未来を切り開いていきたいと思います。新入生代表 ルーク・ロッソ」


パチパチパチパチ


挨拶を終えると、多くの人が頷き拍手をしてくれているのが目に入り、なんとかなったかなとほっと一息つくことが出来た。


「いい挨拶だったと思うよ。ルーク」


「とんでもないですよ。いっぱいいっぱいでした」


「あれ?私の勘違いかな?身分に拘らないと先程言っていたと思うんだが私には普通に話してはくれないんだね」


「そ、それはさすがに…。殿下にため口で話すなど恐れ多いです」


殿下の隣に座るルドルフは殿下が見てないことをいいことにこれでもかと笑いをこらえた顔でこちらを煽ってくる


「私がいいと言ってるんだから気にすることはないよ」


「で、では、よろしくね、クリストファー様」


「まぁ今はそれでいいか!もちろんルドルフ、お前もだぞ!わかってるな?」


「な!え、わかり…いや、わかったよ、クリストファー様」


さっきのお返しに渾身のドヤ顔であざ笑う僕を見て悔しそうにするルドルフ


どうやら思ったよりも楽しそうな学園生活になりそうだ







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