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漆黒の猫貴族  作者: オヤジ
第一章 幼少期編
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第二十話 猫貴族、六歳になる


マクベス公爵家の刺客に襲われてから一年半が経ち6歳になった。

まず、この一年半であった出来事は、姉さんの学園入学だ。

本人は素敵な婚約者を見つけてくるわと意気込んでいたから、それなりに上手くやっていると思う。


そして僕はというと、宣言通り父さんから剣術を教わり始めた。

まだ5歳と身体が出来ていないので、ランニングなどの体力作りと素振りを中心に取り組んでいる。


また、母さんからは引き続き魔法を教わっているのに加え、地理や歴史といった勉強も追加された。

更に、マクベス公爵家のこともあり、今後は多くの貴族へ対応しなければならないことが予想されることから、少し早めだが貴族としての心構えや仕来りも学び始めることとなった。


最後に、ティアに関してはあれ以降会うことは出来ていないが、月に一度手紙のやり取りを続けている。

魔法の訓練も頑張っているそうだが、まだ魔力量が足らず、精霊が目覚めることはないそうだ。


今日はいよいよこれから領内の森へ入り、初の魔物との闘いに挑戦する。

ようやく魔法・剣術ともに最低限のラインはクリアしたと父さんと母さんからと認めて貰うことが出来たからである。


今はスペンサーたち騎士団の人や母さんと共に森の中を移動している。

ちなみに今回は命の危険がない限り、漆黒魔法や死神シリーズは使わない。

素の戦闘力を測るとともに、強力な装備に頼る癖をつけないためである。

代わりに街の武器屋で父さんが買ってくれた双剣を装備している。


「何度も言うけど、弱い魔物を相手にするとはいえ絶対に油断しないこと。それと確実に死んだのを確認するまでは気を抜いちゃダメよ。」


初めてなので森の浅い部分にいる魔物と戦う予定だ。

この森はロッソ領の南東部に位置するマドラス大森林といって、多くの狂暴な魔物が生息していることから未開の地となっている。

また、この大森林の西、つまりロッソ領の南西には聖国が存在する。

ロッソ家の役目は大森林の魔物の間引きと、この聖国への抑えとなることである。


「あの茂みに何かいるね」


「あれはホーンラビットね。弱いけど素早やさが特徴の魔物よ」


頭に角を生やした茶色のウサギが草を食べているのが見えた。

こちらに気付かれる前に素早く『暗闇(ダーク)』の魔法を掛け、視覚を奪う。

そして後ろから忍び込み、双剣でホーンラビットの首へ切りつける。

あっさりと倒すことに成功した。


「魔法の選択が良かったわね。ただ、他の魔物はもう少し警戒心が強いから注意が必要よ。人型との戦闘にも慣れてほしいからゴブリンを探しましょうか」


もう少し森の奥へ進むと「ギャ」「ギャギャギャ」という声が聞こえ、人間の子どもぐらいの大きさで緑の肌のゴブリンを三匹発見した。


「今度はまず一匹は魔法で仕留めること、あとの二匹は接近戦で倒してみなさい」


「わかったよ。『闇衝撃(ダークインパクト)』」


一匹は何が起こったのかわからないうちに、魔法で後ろの木まで吹き飛ばすことに成功した。おそらく倒せただろう。

それを見た残りの二匹がギャーギャー言いながらこちらを警戒するが、体勢が整わないうちに一匹に切りかかる。

ゴブリンは持っていた木の棒で防ごうとしたが、そのまま右腕と一緒に袈裟切りで切りつけた。

切りつけられたことで生じた隙を見逃さず、首を跳ね飛ばした。

あっという間に一匹となってしまった最後のゴブリンはこちらへ素手で襲い掛かってきたが、それを左にかわし、露わとなった背中を切り裂いた。

まだ動けるようだったので最後は『黒魔球(ダークボール)』で仕留めた。


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