第十三話 猫貴族、魔法の訓練を始める
ご覧頂きありがとうございます。30話ぐらいまではストック出来ているので、このまま毎日更新を続けたいと思っています。
翌日、朝食を済ませネーロ家の敷地内にある訓練場にいた。
もちろんクロエは今日も僕の肩の上でくつろいでいる。
訓練場は人払いが済まされており、一緒にいるのは話し合いに参加したメンバーだけだ。
午前は実技にして、午後は座学でティアと共に闇魔法について学ぶこととなった。
これまで実家で母さんからも魔法について学んでいたが、手始めに全般的なことを学んでいたのでこれはこれで非常にありがたかった
「じゃあまずはルークの魔法を見せてもらおうかな。この前アリアに見せた魔法を見せてくれるかい?」
「わかった。いくね」
(死神のグローブを着けてないのに前回より魔力の通りがいいなぁ)
『闇魔球』
シューーー
魔法が的にぶつかると、蒸発するような音とともに、煙に包まれた
「「…はぁ!?」」
煙が晴れるとそこには…的はもちろん、まるで初めからそこに存在しなかったかのように球状にえぐり取られた地面が露わとなった
「これは漆黒魔法と呼ばれる訳だよ…」
「この前見た時より強力になってないかしら?」
「そうだな。この前見た時は的の上半分を消し去っただけだったはずだ」
「ルーク君は本当規格外だね…。詠唱破棄なんてもう些細な問題だよ」
お祖父ちゃんたちが好き勝手言っているが、僕自身も魔法の威力に困惑していた。この前と同じ魔法を放ったはずだけど…
(魔法を放つ時、主はどんなイメージをしたかにゃ?)
(え、それは…前回的が闇に吸い込まれるようして消えたのを見て…ブラックホールをイメージしたかな?)
(それが原因にゃ。魔法を使うに当たってイメージが大事になってくるにゃ。どんな魔法がどう影響するかを明確にイメージすることで魔法の威力は変化するにゃ)
「これはちょっと予定を変更した方がいいかもしれないね。簡単な魔法から徐々にレベルを上げていこうかと思っていたけど…このままじゃ全て漆黒魔法になってしまいそうだ」
「漆黒魔法と闇魔法の違いを理解するためにも物理的に相手にぶつけることを意識する魔法の方がいいかも知れない。それなら父上の懸念したことにはならないんじゃないかな?」
「なら闇衝撃がいいかもしれないね。闇衝撃は相手の内側へ衝撃を与え、体内部に闇の魔力を染み込ませ敵を内側から破壊する魔法だよ。闇魔法だとかなり高位の魔法で危険だからもっと先に教えるつもりだったけど…。じゃあルーク一度見ていてくれるかい?」
『闇衝撃』
ドン
衝撃音がしたかと思うと、中央部分に穴が空き、サーと音を立てて中から粉々になった木材が砂のように零れ落ちてきた
「どうだい?一度やってみるかい?」
「うん。やってみる!」
『闇衝撃』
的へ当たったかと思うと先程の闇魔球と同様に的が消滅した。
「ルークでも出来ないことがあって安心したわ」
「どうやらイメージが足りてないみたいだね。まずは魔法をあの的に物理的なダメージを与えることから始めようか」
午前の訓練時間が終わるまでひたすら的へ魔法をぶつける訓練に費やした