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回復職の悪役令嬢  作者: ぷにちゃん
エピソード2 錬金術師のプレイヤー的育成方法
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14 今後の予定

 ――さて。私は貸してもらっている部屋のベッドに寝転んで、今度のことを考える。もちろんメインはタルトちゃんのことだ。


「と言いつつも、やらなきゃいけないことが多いなぁ。実家に手紙も書かなきゃいけないし」


 そろそろお父様が「手紙はまだか!?」と私を探し出すんじゃなかろうか……なんて思えて仕方がない。


 私の脳内やることリスト。

 一、実家へ手紙を書く。

 二、レベル上げ。

 三、〈聖女〉転職クエストを進めていく。

 四、タルトちゃんを〈錬金術師〉として教育する。


 ざっとこんな感じかな? レベル上げに関しては、〈聖都ツィレ〉に戻ってケントとココアも交えてやれたらいいなと思う。


「そのためには、タルトちゃんのスキルか……」


 〈錬金術師〉にも、戦闘特化、製薬特化、バランス型と大きく三つのスタイルがある。

 戦闘特化は言葉通り、戦闘スキルを取りまくる。火炎瓶などを投げて敵に与えるダメージは結構えげつないのだ。その代わり〈製薬〉スキルを取る余裕はないので、必要なアイテム類は購入するのでお金がかかる。

 製薬特化も言葉通り、ポーション類のアイテム作りを専門に行うことを指す。〈製薬〉にも成功率や難易度があるので、すべてのアイテムを作るには製薬特化型になるしかない。ただ育てるのが大変で、レベリングがとても大変。お金もかかる。

 バランス型は、一人である程度の戦闘ができて、ある程度のポーションなどが作れる。まったりのんびりプレイする人に向いている感じだ。自分でポーションを作れるので、金銭面もそこまで大変ではない。火力は戦闘職より落ちるけれど。


 どれを選ぶかはタルトちゃん次第かな……。ここは彼女の意思を尊重させてあげよう。

 〈錬金術師〉としての知識は製薬レシピが書かれた本が売ってたと思うから、それを買って勉強しながらやっていくのがいいだろう。


「あとは……これか」


 私は自分の左手首にはめている〈冒険の腕輪〉を見る。これがあるとスキルを自分で割り振れるし、〈簡易倉庫〉を使えるなどメリットだらけだ。転移ゲートを使えるというのも大きい。

 ……ツィレに戻ったら、ルミナスおばあちゃんを訪ねてみよう。

 できるかわからないけど、タルトちゃんにも〈冒険の腕輪〉を作ってくれるかもしれない。


 そんなことを考えていたら、私はいつの間にか寝落ちした――。



 ***



「似合っているわ」

「ありがとうですにゃ!」


 ルーナの言葉に、タルトちゃんは満面の笑みを浮かべた。今、タルトちゃんはショルダーバッグを下げていた。どうやら、ルーナたちがプレゼントしたみたいだ。フレイは満足そうに頷き、リーナは「一人前に見えるな!」と嬉しそうだ。トルテはタルトと一緒にお礼を言っている。

 薄こげ茶色のショルダーバッグは外側部分に数本のポーションを取り付けられ、すぐに使うことができるようになっている。緊急時にはかなり重宝するだろう。さらに驚くことに、中は〈魔法の鞄〉になっていた。これは、NPC――ノンプレイヤーキャラクターが持つ、インベントリのようなもの。ある程度のものが鞄に収納できてしまうのだ。


「どうですか、お師匠さま!」

「すごくいいと思う! 可愛いし、〈錬金術師〉っぽい!」

「えへへ」


 くるりと回って見せるタルトちゃんを、私は全力で褒める。〈魔法の鞄〉があれば素材採取なども楽だし、いいスタートダッシュになると思う。



「それで、これからのことだが……私たちはもう少しここに滞在しようと思っているんだ」

「私とタルトちゃんはフレイたちとレベルが合わないから、ここからは別行動だね。やりたいこともあるから、タルトちゃんには私の用事に付き合ってもらいつつ、レベル上げたり〈錬金術師〉として修業したりしていく感じになるかな? まずは〈冒険者ギルド〉に行って、冒険者にならないと」

「そうだな」


 私がざっくりスケジュールを告げると、フレイが頷いた。


「ここから一番近いギルドは、〈港町トルデンテ〉だな。その次に近いのが、〈聖都ツィレ〉か」

「んー、ツィレがいいかな。その方が錬金術の道具も揃えやすいと思うから」

「確かに港町だと、錬金術のイメージはないな」

「だねぇ」


 でも、魚料理は美味しそうだなと思うので時間ができたら行きたいところだ。


「それから、〈ローラルダイト共和国〉も。〈錬金術師〉に必要なアイテムがいっぱいあるから、レベルが上がったら行く予定かな?」

「おお、ローラルダイトか。砂漠だから大変だが、タルトにもいい経験になりそうだな」


 どうやらフレイたちはローラルダイトに行ったことがあるみたいだ。トルテは「暑くて大変だったにゃ」と尻尾を下げている。ルーナは、「お肌の敵だから気をつけるのよ!」と違う意味で助言をくれた。


 私はそれに頷きつつ、ただ……どうやって行くのがいいのだろうと頭を悩ませる。なんせ陸路で行くには国外追放された故郷を通らないといけないのだ。〈桃源郷〉方面を経由して〈海底トンネル〉を通って行くこともできるけど、レベルが足りなさすぎる。

 ……とりあえず、今は保留にしとこう。


「うぅぅ、楽しみすぎますにゃ!」

「いろんなとこに行こうね。そのためには、レベル上げも頑張らないとだけど……!」

「頑張りますにゃ!!」


 タルトちゃんはぴょんっと跳びはねて、「早く冒険したいですにゃ!」と改めて告げた。うんうん、わかるよ。私も冒険するのが楽しくて仕方がないからね。


「早ければ明日くらいに旅立ってもいいけど、タルトちゃんは――」

「明日にしましょうにゃ!」

「即決……! いや、判断が早いのはいいことだけど」


 みんなとお別れになるけど、そう簡単に決めていいのかな? と、私は思う。


「大丈夫にゃ。みんなには今日ご挨拶をしてくるのにゃ」

「まあ、タルトちゃんとトルテがそれでいいならいいんだけど……」


 私がそう言ってタルトを見ると頷いてくれたので、明日が出立の日になった。

回復職の悪役令嬢、1巻が重版決定と編集さんから連絡いただきました……!

購入いただいたみなさん、ありがとうございます。(嬉)

引き続きどうぞよろしくお願いいたします!


最近タルトがお気に入りだったので、重版したし、たくさん登場させられるのでは……と、ワクテカしております。

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― 新着の感想 ―
信じて送り出した妹がマッドサイエンティストになっていた。なんてルートもありえるわけか
[気になる点] レシピが書かれた本なんて売ってるんだろうか?主人公見たく全部秘匿されてそう。
[気になる点] 故郷を通過するとき、<癒し手>シャロンとしてのギルドカード見せればそのまま通れるんだろうか…? 国発行の身分証が必要だったりすると身分特定されちゃいますし門番が顔覚えてたりすることも…
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