表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖獣達の鎮魂歌~Requiem~  作者: 悠介
幕間の物語

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/160

1話 蓮との邂逅

「……。お兄ちゃん、ここどこなの?」

「ここはディセント、さっきまでいた世界、セスティアの裏側の世界、蓮に守ってほしい世界だ。この世界に、俺と蓮を合わせるきっかけになった、デインって言う神様がいるんだよ。」

「神様が?ほんとぉ?」

「そうだよ、蓮。それで、俺達の拠点がここで、ここに皆が集まる予定なんだよ。」

 蓮がセスティアを離れた時、その時、ディンは管轄である警察官、村瀬警部に事の次第を伝えていた。

 ただ、村瀬警部は本庁の人間、離島である三宅島の管轄に伝えるべきか、それともとディンに連絡をしていた。

 ディンとしては、所轄の刑事に連絡をして貰っても構わない、というスタンスなのだが、一つだけ、異世界に渡ったという話だけは、島民にはするな、と言っていた。

 異世界の存在を広く知らしめてしまう事になってしまう、そのきっかけを作りたくはない、と。

「皆って、だあれ?」

「そうか、そこから話をしなきゃならないな。取り合えず、今いる皆と挨拶をしようか。」

「どんな人なんだろう?」

「ちょっと見た目が怖い人がいるけど、皆優しいから大丈夫だよ。」

 見た目が怖い人、とはどんな人なのか、どんな人間がいて、どんな関係を築いているのか、蓮はわくわくしてたまらない様子だ。

 わくわくそわそわとしていて、浮足立った顔をしている。

「どんな人だろう!」

「さ、楽しみか?」

「うん!」

 外園邸の中に入る二人、ディンは、今は全員がこちらに戻ってきている事を確認していた、セスティアにて守護者の子供達の警護をしている四人が、現在はディセントに戻ってきている、竜太とセレンに関しては、そもそも次元転移級の魔法は使えない、ディンが代わりに転移魔法を使い、セスティアとディセントを行ったり来たりしている、リリエルは自力で転移が使える、ウォルフも使えると言っていて、事実ウォルフはディンの手助けを借りずに転移を発動していた。

 とにもかくにも、外園も買い出しから戻ってきている、五人揃っている、それが分かればいい、とディンは考えていた。


「父ちゃん、戻ってきて……、その子は?」

「hey,竜神王サンよ、そのお子様は誰だ?」

「ホントだ、ディン、そのガキンチョ誰だ?」

 竜太とウォルフ、セレンが居間で話をしていた所に、ディンが蓮を連れて現れた。

 ウォルフは、その蓮の膨大とも言える闇を感じ取っていてが、ディンが連れているという事は、問題はないのだろう、と感じていた。

「蓮、自己紹介出来るか?」

「うん!初めまして!風眞蓮です!」

 名前を聞いたわけではないのだが、と三人は心の中で呟く、どうしてこの子供がここにいるのか、を聞いたのだが、と。

 ただ、ディンはそれをわかっていて、最初に挨拶をさせたのだろう、とは推測はしていた、ディンは他人の心が読める、だから、意味のない挨拶はさせないだろう、と。

「hahaha!初めまして蓮、俺の事は気軽にウォルフと呼んでくれたまえ。」

「僕は竜太、父ちゃんが連れて来たって事は、何か縁があったのかな?」

「おめぇら、普通に挨拶すんのな……。俺はセレン、よろしくな、蓮。」

「よろしくお願いします!」

 見た目の厳ついウォルフや、日本人の見た目をしていないセレンに対しても、物怖じせずに挨拶をする蓮、そんな蓮が愉快でたまらないのか、ウォルフは笑っていて、竜太はディンが連れてきたという事は、と考えていて、セレンはあきれ半分で挨拶を返した。

「それで?竜神王サンよ、この子は何者だね?ただの子供を誘拐してきた訳ではないんだろう?」

「この子も戦うんだよ。蓮、この子は、デインの力を受け継いでいる子なんだ。だから、これから修行をつける、まだまだ戦闘に関しては素人だけど、そのうち竜太とはいい勝負をする様になるかもしれないな。」

「デインの力?デインって、この世界の守護神の事だろ?」

「そうだよ、セレン。デインが、何の因果かこの子に力を与えた、そのままだったら暴走して終わりだったんだろうけど、俺が介入した事で未来が変わった、と思われるな。とにかく、デインが力を貸した子だ、って言う認識でいてくれれば構わないよ。」

 竜太は、ディンに言われていた事、自発的にデインを親族だと言わない、という約束を守っていた、だから、デインという単語が出てきても、黙っていた。

 逆に、セレンやウォルフはデインの事を良く知らない、だから、その縛りはないとも言える。

「守護神がこんな子供に力を与えるとは思えんがね?だがしかし、竜神王サンの言葉に意味が無いとは思えんな、それは、半年の付き合いでわかっている。Umm,蓮よ、お前さんは戦う事を承諾しているのか?竜太とそう歳は変わらんだろうが、竜太はそもそもが竜神王サンの息子として鍛えらえれてきていた、と言っていたがね?」

「わかんない!戦ってほしい!ってお兄ちゃんは言ってたけど、僕、何が戦う事になるのかなーって!」

「ディン、正気か?こんなおこちゃま連れてきて、戦う意味も知らずに戦うってのか?」

「まあ、そこに関してはこれから教えていくよ。それで、リリエルさんと外園さんはどうしてる?」

「なんだか危うい子だね……。でも、父ちゃんが連れて来たって事は、何か意味があるんだと思います。皆さん、ここは父ちゃんを信じて見守りましょう。」

 蓮が、わからないと元気よく話をすると、セレンは呆れた顔をしていて、ウォルフは何やら愉快そうに笑っている。

 竜太は、デインが選んだ子供、という事の意味を考えていて、デインがどうして、蓮に力を与えたのか、そもそも、竜神の力を人間に継承する事がどうして出来たのか、ならば自分やディン、ドラグニートの八竜達にも、それが出来るのだろうか、と疑問を浮かべる。

 出来る場合、出来ない場合、どちらも考えてみようとするが、どうしても想像が苦手な竜太は、それが想像出来ない。

 もしもの時の事、それに対策をしておかなければならない、ディンは常々そう言っていたが、竜太はそれを考えるのが苦手だ、と感じていた。

「……。お前さん、他人の闇を抱えてる事には気づいているかね?蓮、お前さんは……。」

「たにんのやみ?」

「……。いや、今は語るべき時ではないのだろうな。竜神王サンが語らねばならない事、竜神王サンだけが語る事を許されてる事、だろう。ふむ、そうなってくると、俺達の立ち位置ってのも、変わって来るんじゃないかね?蓮を育てる、それは当初の目的には入っていなかったと思うがね?」

「そうだな。出来れば、蓮を育てる事にも協力してほしい所ではあるな。特にウォルフさんは、この中で唯一遠距離武器を使える人材だ、俺も使えなくはないけど、ウォルフさん程の熟練度は持ってないし、そもそもが片腕が無いんだから、両手で持つ武器に関しては門外漢だ。ハンドガン程度なら教えられるけど、ライフルってなったら、それはウォルフさんの専売特許だろう?」

 ウォルフが蓮に問う、他者の闇、それを抱えている自覚はあるのか、それが危険という自覚はあるのか、と。

 その結果、蓮は理解していない、蓮は、他者の闇を抱えている事も、それが危険だという事も、気付いていない。

 ウォルフの本能が囁いていた、蓮の瞳を見ていると、闇に呑みこまれそうになる、と。

 それがどの様な結果をもたらすのか、に関してはウォルフも専門外だが、他者の闇というものを抱えた存在、と言うのは、何度か見た事があった。

 英雄として、赴いた先の世界で、他者の闇、他者の念に犯されている所、と言うのを見た事があった、それはウォルフのいた世界であって、この世界群の中の出来事ではないが、しかし、似通った状態の人間を見て来たものとして、その吸い込まれそうな闇を宿している瞳、というのは、ウォルフの中では恐怖の対象ですらあった。

 数多の世界を駆け抜け、英雄として活動してきた、実績と能力を持っているウォルフでさえ、その瞳を見ていると、呑み込まれそうになってしまうのだ。

 セレンと竜太は何か感じ取っていないだろうか、と目配せをしたが、二人は何かに気づいている様子はない、特にセレンは、こんな子供が戦うのか、と唸っている。

「蓮、つったか?今歳いくつだ?」

「えっとね、今日で十一歳!」

「十一か……。って事はあれだろ?竜太とディンが戦い始めた頃よりも前だろ?ホントに良いのか?そんなガキンチョ戦わせて。」

「……。それは、定めでもある。蓮がデインに力を継承された以上、戦う定めにあるとも言える。それをしない結果、を求める事は出来ても、世界がそれを許さないだろう。」

 セレンは、蓮の様な子供が戦う事、について納得がいっていない様子だ。

 竜太の時も感じた、半年前、竜太と初めてであった時、年齢を聞いて酷く驚いた覚えがある、セレンは、そんな竜太よりも年下の蓮が戦う事、について、疑問を持たずにはいられない様子だ。

「蓮君、僕達と一緒に修行する?」

「うん!お兄ちゃんと戦える様に、頑張る!」

 竜太は、意味を考えていた。

 蓮にデインが力を与えた意味、そして、今しがたウォルフが言った、他者の闇を抱えている事、その関連性を考えるが、難しい。

 竜太の中で納得のできる、そして、ディンにとっての正解を考えてみるが、わからないが正解だった。


「あら、貴方は?」

「風眞蓮って言います!お姉さんは?」

「私?私が怖くないのかしら?」

「うん!怖くないよぉ!」

「……。私はリリエル、リリエル・アステリア・コースト。他の人からは、大概リリエルさんかリリエルと呼ばれる事が多いわ。」

 蓮がやってきた日の夕食時、珍しくリリエルが食堂に顔を出す、リリエルは普段、外園が軽い食事を居室に持っていく事が多く、そもそもこの世界に居なかったり、部屋に居なかったり、そういった事が多い。

 そんな中で、今日はたまたま、たまには交流を図っておかないと、いざという時に情報を与えらえれないかもしれない、と感じて、食事に顔を出した。

 そんなリリエルに、竜太は物怖じせずに挨拶をする、リリエルは、その深淵を思わせるがまっすぐな瞳、を見て、蓮の事を受け入れる事を選択した様子だ。

「ディン君、まさかとは言わないけれど、この子が戦うという話なのかしら?」

「そうだよ、この子は戦う為にここに来た。」

「……。戦いのイロハは知っているの?戦闘経験は?実戦で刃を握った事は?人を殺した経験は?」

「戦闘はずぶの素人、実戦経験はなし。ただ、人を殺したって言う話なら、丁度今日がそれをした日だな。リリエルさんが願った復讐、それを遂げた後にこの世界にやってきたんだから。」

「復讐を、遂げた後……?」

「それに関してはまた今度にでも話すよ。蓮自身は復讐をしたとは思ってないから。ただ、それを遂げた後の人間だ、って言えば、リリエルさんとしては参加する資格はあるんじゃないか?」

 復讐を果たした、という自覚は、蓮の中にはないのだろう、蓮は、追いつめられて両親を殺した、という認識しかしていなかった、ディンが復讐の果てにと言っても、頭に疑問符を浮かべている程度には、復讐をしたという自覚が無かった。

 そんな蓮のそこのしれない闇の深さ、それをリリエルは感じ取った、決して否定的な感情として捉えたわけではなかったが、蓮の中には、底知れない闇が潜んでいる、とリリエルは直感で感じていた。

「やや、遅くなりました。おや?ディンさん、そちらのお子さんは?」

「初めまして!風眞蓮です!」

「蓮君、ですか。それで、この子はどこからやってきたのです?まさか、異世界からの戦士だとは言いませんよね?」

「説明するのも何度目かな、この子も戦士だよ。デインの力を継承した、立派な戦士だ。ただ、まだ戦闘に関しては経験が無い、あと半年、その間に実戦で戦える程度までもっていくつもりだよ。」

 外園がキッチンから顔を出し、夕食を並べようとして、蓮に気づく。

 蓮が自己紹介をする、まさか戦士だとは言うまいな、と外園は呆れの目をディンに送ったが、ディンは本気で蓮を戦わせるつもりらしい。

 デインの力を継承した、と今しがたディンは言っていた、外園は、そのデインに会った事がある身として、デインがただの人間の子供を、戦争に向かわせる様な事をするだろうか?と考える。

 そして気づく、リリエルやウォルフがそう気づいた様に、蓮が纏っている空気、自分達を光の存在と定義するのであれば、限りなく闇の存在に近い、ある種ダークエルフと呼ばれる、外園が暮らしていた国、フェルンにおける被差別階級と同じ、そんな子供だ、と外園は気づいた。

 ダークエルフとは出生やら根底やらが違うのだろうが、闇の側の存在、としての認識は間違っていないだろう、そして、その闇の側の存在を仲間に加えた事、実戦経験がないにもかかわらず、戦わせようとしている事、に関して、ディンに後で問いたださなければ、と感じた。

「蓮君、私は外園と申します。よろしくお願いしますね。さて、蓮君を迎えた日、というのには少し味気ないですが、夕食が出来上がっていますよ。リリエルさんも、今日はこちらで召し上がるので?」

「ええ、そうさせていただくわ。」

「左様で。」

 光を守るべき存在、とされている竜神王であるディンが、闇の側の存在である蓮を仲間とした理由、そして、闇の側の存在である蓮に、デインが本当に力を与えているのであれば、その理由。

 それは、いつか問わなければならない事で、今は問うべき事ではないのだろう。

 外園はそう感じ、食事を用意し始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ