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聖獣達の鎮魂歌~Requiem~  作者: 悠介
弐章 修行の日々 そして

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1話 清華、修平到着

 四神の使い達が、それぞれの祠から出発してから1か月が経った、まず一番最初に外園邸に辿り着いたのは、清華とリリエルだった。

 馬に揺られて、聖獣信仰の薄くなってきていた村々に立ち寄り、そして個の外園邸まで、一か月の時間を要した。

「ここが、目的地ですか?」

「えぇ、そうよ。」

 外園邸の前に立っている二人、清華は馬を降りると、ふぅとため息をついた。

「さ、行きましょ。勝手に入って構わないって言ってたわ。」

「は、はい!」

 一か月で、だいぶリリエルにも慣れてきた、忌避感も、少しずつだが薄れてきた。

 まだ拭いきれないのは確かであり、自分とは相いれない存在だ、という認識はあったが、指南役としての腕前は相当のもの。

 だから、ではないが、従う方が得だと、清華は考えていた。

 そんな清華の思惑を知ってかしらずか、リリエルはそれをスルーしていた、自分には関係ない感情、として切り捨てていた、リリエルにとって、清華の感情の損得、と言うのはどうでも良い事であり、指南役としての役割さえ果たせばいい、という考えを持っていた。

 そんな二人は外園邸の中へと入り、ディンのもとへ向かう、茶室に居たディンの元に到着した二人を、ディンは笑いながら出迎えた。

「ディン君、到着したわ。」

「お、リリエルさんが一番乗りか。初めまして清華ちゃん、俺がディンだ。」

「貴方が……?私はちゃんづけされる様な年ではないのですが?」

「俺からしたらちゃんだよ、若い若い。」

「……。」

 赤茶髪に十五歳くらいの顔と、自分より若い見た目のディンに言われ、ムッとする清華。

 しかしディンはそれを笑い、軽くいなす。

「まあ今日はゆっくりしなよ、長旅で疲れてるだろう?」

「えぇ、そうさせてもらうわ。シャワーが浴びたいもの、行きましょ清華さん。」

「あ、はい。」

 リリエルは用は済んだとさっさと茶室を出ていき、清華もそれに従う。

「つんけんした二人だこった。」

 ディンは一人紅茶を飲みながら、やれやれと笑った。


「彼が本当にディンアストレフさんなんですか?」

「えぇ、何か疑問に思う事があるかしら?」

 外園邸の脱衣所にて、大浴場の為二人同時に風呂に入った方がいいと、リリエルが珍しく清華を誘う。

 剣道着を脱ぎながら、清華は納得いかないというか、腑に落ちないという顔をしている。

「若すぎませんか?彼。」

「ああ見えて千五百歳よ彼、貴女の百倍は生きてるわね。」

「えぇ!?あの見た目でそんな年齢なのですか!?」

「彼は何百万年と生きる種族らしいから、若く見えるのはそのせいでしょうね。」

 呆気に取られる清華、人間でないことはわかっていたが、まさかそこまで長生きだとは、と衝撃からそういった表情をしている。

「だから貴女の事をちゃんづけするのよ、私も下手をすればリリエルちゃん呼ばわりかしらね。」

「……。」

「まあ私達警護役に関しては、ある程度距離を置いてるみたいね。ちゃん呼ばわりなんてされても、私困るだけなんだけど。」

 リリエルがトレンチコートとシャツを脱ぐと、スレンダーだが筋肉質な肉体が露わになる、普段女性の裸体を見ない清華がそれに少し見惚れていると、リリエルがそれに気づく。

「何かしら?」

「い、いいえ……。」

 リリエルに問われ、慌てて目線をそらす清華、同じ女性として、こんなにも完成された肉体美とでもいうべきか、美しい身体は初めて見た、だから、見惚れてしまっていた、自分が目指すべき肉体美、を持っていることを、羨んでいる清華がいた。

「先に入るわよ。」

「は、はい。」

 まだ袴を脱いでいなかった清華を置き去りにし、リリエルは浴場の中へと消えていった。

「……。」

 清華は急いで袴と下着を脱ぐと、タオルを体に巻いてその後を追いかけた。


 浴場は数人が一気に入れるくらいの大きさで、ジパングにしては珍しくというより、ジパングで数か所しかないシャワー付きの風呂だ、檜の浴槽が浴場に香りを漂わせており、リラックス出来る。

「ちゃんと体を洗うのも久しぶりね。清華さんは苦痛だったでしょ?」

「えぇ、まぁ……。慣れていないと言いますか、なんと言いますか……。」

「でしょうね。」

 シャワーを浴び、体を洗いながら二人は話している、清華は自分より少し膨らんでいるリリエルの胸をついついチラ見してしまい、少し赤面してしまう。

 元より男家庭で育った清華は、母以外の裸を見るのも久しい、だから、同じ女性でも意識してしまう。

「ふぅ……。」

「疲れたかしら?」

「そう、ですね……。長旅は初めてですし、馬には慣れましたが……。」

 湯船に入り、肌にお湯をかける清華の体が火照り、ほんのり赤くなる。

「風呂はいいわね。」

「と言いますと?」

「私、これでもお風呂が好きなの。唯一癒される場所とでも言えばいいかしら?」

 リリエルも鎖骨から肩にかけ湯をかけながら、珍しくまったりとしている、清華は、そんな張りつめていないリリエルを初めて見て、驚く。

 張り詰めていない空気、つまり普段のリリエルとは少し違う、普段の視線だけで人を殺めてしまいそうな空気、を纏っていない、それが清華にとっては、珍しい事だった。

「あの……、私もお風呂好きです……。」

「そう、それは良かったわね。」

 珍しく共感を得られた事に少し喜ぶ清華、鎖骨にたまるお湯が心地いいと感じ、檜の香りを堪能しながら、湯気がふわりと登っていく様子を見て、この先何度出来るかわからない、のんびりとした時間を過ごした。


 風呂から上がり、与えられた部屋に入った二人は、椅子に座り対面していた、リリエルが話があると、清華に言ったからだ。

「清華さん、明日から本格的な修行に入るのだけど。」

「はい。」

「貴女が持ってる感情は無駄よ、修行の際は捨てなさい。」

「……。」

 清華の持っている持っている感情、それは忌避感の事だろう、確かにそれは、修行をつけて貰うにあたっては、不要なものだろう、しかし、それは捨ててはいけないものだと清華は考える、それを捨ててしまったら、平気で人殺しをするリリエルと同じになってしまいそうだから、と。

「それを捨てたところで、貴女は私のようになるわけじゃないわ。安心しなさい。」

「……!」

「正解と言った所かしら。まあいいわ、修行に集中さえしてくれれば。」

「はい……。」

 考えを読まれ驚いた清華と、当然そうだろうという風なリリエル。

 リリエルに対する視線、の意味を知っていたリリエルからしたら、清華の感情と言うのはわかりやすすぎる程にわかりやすい、もしも清華が暗殺者として生きる道か自害を選ばなければならない日が来たら、即答で自害を選ぶだろう、その姿がありありと想像できる。

「明日から修行よ、今日は寝なさい。」

「……。」

 リリエルはそれだけ言うと、部屋を出て行ってしまう、一人残された清華は、もう考えても仕方がないのだろうと、ベッドに入り眠りにつこうとした。


「あ!リリエルさんだー!」

「あら蓮君、久しぶりね。」

「えへへ、久しぶりー!」

 廊下を歩いていたリリエルにかけられた声、それは蓮のもので、バタバタとリリエルのすぐ近くまで走ってきた。

「元気だったかしら?」

「うん!リリエルさんは元気だった?」

「えぇ、おかげさまでね。」

 暗殺者とは思えない、柔和な笑みを浮かべるリリエル、ディンや清華に対する、つっけんどんな態度とは大違いだ。

 蓮と竜太を特別扱いしているリリエルが気づいていない、自身の感情の変化、そして、それが態度に出てしまう程度に、絆されてしまっている現実。

「一緒に来た人って、何してるの?」

「もう寝てるんじゃないかしら?蓮君は寝なくてもいいの?」

「おトイレ行ってから寝ようと思って!」

「そう、なら早く寝なさい。夜更かしは体に悪いから。」

「はーい!」

 そういってバタバタと走り去る蓮と、それを見送るリリエル。

 蓮を見ていると、まだ幼かった頃を思い出す、温かい家庭や、友、あの頃の村を。

 そして、知っている、蓮にはそれがなく、復讐相手である両親を殺したのだと。

 だから厳しく出来ない、むしろ、自分でも驚くほど優しく接している時がある。

「……。」

 心の内で笑ってしまう、紆余曲折ありながらも今暖かい環境にいる蓮と、昔の自分を重ねるなどナンセンスだ、と。

 しかし、それでいいのかもしれない、そう思いながら、リリエルは蓮を見送った。


「ディン君、入るわよ。」

「あぁ。」

 リリエルが向かった先は、数時間前にもディンと話をした茶室だった。

 ディンは風呂上りなのか髪の毛が濡れていて、片手で起用に襟足を結んでいた。

 好みで襟足を結んでいる、とディンが言っていたことがあったが、竜太が坊主頭を続けているのに対して、それに似ても似つかない髪型と髪色、と言うのは、相変わらず、二人が親子であるという認識を誤認させる材料になる。

 リリエルのいた世界では、髪の毛を染めるという文化はなかった、生まれ持ったもの、親から引き継ぐ素養、として髪色と言うのはある為、ディンの素養を竜太が受け継がなかった、それが信じられないリリエルがいた。

「なんか用かい?」

「そうね、用事が無ければ貴方と話そうとは思わないもの。」

「それもそうか。んで用件は?」

「清華さんの事よ。」

 成程とディンは頷く、大方話の流れは見えた、という風だ。

「あの子。道中警護してて思ったのだけれど、戦えないわよ?特に人間相手には。マグナの人間は敵対しているのだから、戦わないとなんでしょ?」

「そうだな……。彼らには魔物や神との戦いに専念してほしい所だけど、確かに人間と戦わないといけないこともあるだろうな。」

「大丈夫なの?」

「それを大丈夫にするのが、リリエルさんの役目だろう?」

 ドアに背を凭れて腕を組み、人差し指をとんとんと動かすリリエル。

 苛立ち、それを隠そうともしない、ディンの前で感情を隠しても意味がない、と言うのを理解して以降、それを隠さなくなった、リリエルとしては、意味のない事をしたくない、という損得勘定なのだろう。

「私が教えられるのは戦闘だけよ、心構えなんて教えられないわ。」

「まあそう言わずに。リリエルさんを見てるうちに、勝手に理解していくさ。」

「そうかしら?」

「そういうもんだ。」

 その苛立ちを、ディンは感じながら軽くいなす、それは若さ故の感情だろうと、笑う。

「まあ他の子らが来るまでまだ時間もある、ゆっくり教えてあげてくれよ。」

「……、わかったわ。」

「頼んだ。」

「それと。」

 ディンとしては、もう用は済んだだろうといった風だったが、リリエルは言葉を続ける。

「クロノスについてはあれから何かわかったのかしら?」

「ああ、その事か。」

「気にならない訳がないでしょう?」

「クロノスのいる世界、まだわからないけど目星はついてきた。そんな感じだな。」

 ディンは、リリエルが飛んでいけない世界だと踏んで、正直な所を伝える。

「その世界は?」

「世界の端、次元の狭間。そのどっかにいるんだろうけど、リリエルさんじゃたぶん行けないよ。」

「確かに、私の力じゃ行けないわね。それで、この世界に引っ張ってくるのはどういう手筈なのかしら?私をここに呼んだと言う事は、この世界に引きずり込む手段があるんでしょう?」

「……、どうだろうな。そこにリリエルさんを連れていく事になるかもしれないし、俺が一人で戦わなきゃならないかもしれない。」

 そこはわからない、と手をひらひらさせるディン、リリエルとしては、それではここに呼ばれた意味がわからなくなってしまうのだが。

「私は自分の手で復讐を遂げる、それを邪魔するのなら……。」

「邪魔なんてしないよ。ただ、成し遂げられるかどうかの保証は出来ない。」

「私じゃあ実力不足、そう言いたいのかしら?」

「そんなことは言ってないよ。ただ、俺の予想通りの相手なら。」

 そこで一度言葉を止めるディン、ここから先を言ってもいいものか、と考えているようだ。

「何かしら?」

「そもそも、リリエルさん達じゃ戦える相手じゃない。もしも俺の推測が正しいのであれば、それは竜神王である俺にしか戦う事自体が出来ない。」

「どういう事かしら?実力不足という風にしか取れないのだけれど?」

「そういう事じゃないんだ。ただ、そういう相手かもしれないって事だ。」

 実力不足だと言われている気しかしないリリエルは、鼻で笑うと部屋を出て行ってしまう。

 ディンはやれやれとため息をつき、悩む。

 デインと蓮、二人の共通点、クロノス、大いなる闇という存在、それが、全てこの世界に関わっている、偶然ではない、と考えるのが普通だ。

「竜神王の宿命、か。」

 初代竜神王が残した書物を、いつだったか眺めていた時、その事について、言及されていた。

 もしも今回の相手がそれなのであれば、それは自分にしか出来ない、ディンは、そう考えていた。


「初めまして!」

「えっと、貴方は?」

「僕風眞蓮って言います!」

「貴方が……。」

 トイレから戻ってきた蓮は長い廊下で、寝れないからと少し散歩をしていた清華とばったり会う清華はこの子供が十一歳の戦士かと思い出す。

「お姉ちゃんはお名前なんていうの?」

「私は鈴ヶ峰清華、宜しくね。」

「清華さん!よろしくね!」

「蓮君は寝なくても良いの?」

 もう夜も遅い、時計があるわけではないが、体感時間的には、十時を回っているだろう、こんな時間に子供が起きていていいものか?と清華は思う。

「おトイレいって寝るところなんだ!清華さんは寝ないの?」

「えぇ。私はもう少し起きていようと思っているの、少し寝付けなくて。」

「そっか、じゃあおやすみなさい!」

「はい、おやすみなさい。」

 蓮はそういうとバタバタと走り去っていき、清華は一人残される。

 あんな子が戦っているのだから、自分も頑張らねば、そう思いながら、広い屋敷の散歩を再開した。


「さあ修平君、ここが外園の屋敷だ。」

「へー!でっかいですね!」

 それから三日後、次に辿り着いたのはウォルフと修平だった。

 物見遊山の様に山を登っていた修平は、屋敷を見て驚く、山の中腹にこんな大きい屋敷が立っているとは、夢にも思わなかったという、そう言った感想をえた様子だ。

「さあ、竜神王に挨拶をしに行こうじゃないか。」

「はい!」

 二人は屋敷の中へ入ると、ディンの元へと向かった。


「ほんと、お屋敷広いですねー!」

「そうだな、この屋敷は広い。彼一人で住んでいたとはとても思えないな。」

「こんな広いお屋敷に一人で!?寂しくないのかな……。」

 屋敷の廊下を歩きながら、二人は喋っていた。

 ウォルフは、一か月ぶり帰ってきた屋敷に懐かしがりながら、修平は初めて見る屋敷に驚きながら、ディンの普段いる茶室へと向かっていた。

「あら、ウォルフさん。」

「oh!リリエルちゃんじゃないか!」

「ちゃん付けはやめてって言ったのに……。まあいいわ、久しぶりね。」

「えーっとこの人は?」

 そこに現れたのはリリエルだった、ウォルフは久しぶりに会う旧友のような口ぶりで話しかけるが、リリエルはつっけんどんとしている。

 修平はこの人が屋敷の主か?と一瞬思うが、確か外園君、という人物が屋敷の主だったはずだと思い、頭に?を浮かべる。

「彼女はリリエル、俺と同じ指南役だ。」

「へー、まだ若そうなのに……。」

「貴方が修平君?清華さんよりは戦えそうね。」

「清華さん?」

「私が指南している女の子の名前よ、一緒に戦うのだから挨拶くらいしておいたら?」

 言葉に棘を感じる。

 普段そういったものに鈍感な修平でさえ、感じるほどに、冷たい態度というのを崩さないリリエル、初対面である修平に対しても、それは変わらない様子だ。

 少し怖いな、と修平はそうリリエルに印象を受けた。

「ディン君なら蓮君と修行中よ、外にいるんじゃないかしら?」

「そうか。では向かおうか、修平君。」

「あ、はい!」

「ではリリエルちゃん、我々はこれで。」

「えぇ。」

 そういうとリリエルは何処かへ行ってしまい、ウォルフも元来た道を引き返す、修平は少し戸惑いながら、ウォルフに従って歩き出した。


「せいやぁっ!」

「甘いな。」

「まだまだぁ!」

 屋敷の外に出て少し歩いた所に、ディンと蓮は居た。

 蓮は両刃剣を思い切り振り回しており、それをディンがひらひらと躱している。

「やあ竜神王サン、久しぶりだな。」

「あ!ウォルフさん!」

「蓮、今日はここまでにしようか。」

 ウォルフが声をかけると、二人は修行をやめそちらを向く、蓮が嬉しそうにウォルフの傍によると、ウォルフは蓮の頭を撫でている、まるで血の繋がっていない親子の様だ、と修平はその姿を見て感じた。

「元気だったかい?」

「うん!ウォルフさんは元気だった?」

「hahaha!元気だったな。。」

「えっとウォルフさん、この子は?」

 蓮とウォルフが挨拶を交わしていると、修平が口を挟んでくる、そんな所にディンも修平の傍に寄ってきて、にこにこと笑う。

「やあ修平君、久しぶりだね。」

「あ、ディンさん!久しぶり!」

「元気だったかい?あぁそうだ、この子は風眞蓮。君と一緒に戦う戦士だよ。」

「君が……。」

 ウォルフとじゃれている蓮を見て、驚く。

 この子が自分の親を殺した、虐待されていた子なのかと、そんな面影は全く見えない、どこにでもいそうな少年じゃないかと。

「えっと、修平さん?だっけ。僕蓮って言います!よろしくね!」

「うん。蓮君、宜しくね。」

 にっこりと笑いながら自己紹介をする蓮、やはりというべきか、家族殺しとは思えない、何処にでもいる、普通の少年にしか見えない。

「修平さんは誰の守護者なの?」

「えっとね、白虎君の守護者なんだよ。」

「白虎……。っていう事は、西の守護者なんだ!」

「そうだよ、蓮君はデインさんの力を借りてるんだよね?」

「うん!」

 しかし、先ほどまでの修行の動き、少ししか見れなかったが、もしかしたら自分より強いかもしれない、無邪気だが侮れない、と修平は直感で考える。

「さて蓮、今日は修行も終わり。どうする?」

「おなかすいた!」

「じゃあご飯にしようか、ウォルフさん達も一緒にどうだ?」

「相伴させてもらおうか。修平君、構わないな?」

「あ、はい。」

 蓮とディンが先に屋敷の方へ戻り、ウォルフと修平がその後に続く。

「ウォルフさん、本当にあの子が親を殺したんですか…?」

 小声で、蓮達には聞かれない様にウォルフに問いかける。

「そうだ。彼は両親を殺し、ここに来た。」

「……。」

 とてもそうは見えないが、ウォルフがそういう嘘をつくとも思えない、という事は、信じられないが事実なのだろう。

「まあ、そのうちわかってくるさ。彼がどういう子なのかも。」

「……。」

 悩む修平の背中を叩きながら、ウォルフは静かに笑う。

「あれ、ウォルフさん笑ってる!どうしたの?」

「どうもしないさ、さあ飯を食いに行こう。」

「はーい!」

 蓮がその事に気づくが、しかし空腹の方が強かったようだ、さして気にする事もなく、ディンの後をひょこひょことついていった。


「お、リリエルさんに清華ちゃん。丁度良かったよ。」

「あら、私達に何か用?」

「用って程じゃないけど、飯の時間だよ。」

「あら、もうそんな時間だったのね?」

 食堂に向かっている途中、丁度リリエルと清華にばったり出会う四人、清華と修平は、直感的にお互いの関係性に気付く。

「ウォルフさんに修平君、こちら清華ちゃん。清華ちゃん、こちらウォルフさんに修平君だ。」

「は、初めまして!俺河伯修平って言います!」

「鈴ヶ峰清華と申します。」

 少し緊張気味の修平と、至って冷静な清華という、対照的な二人が挨拶をする。

「おやおや、皆さんお揃いで。」

「外園さん、何か手伝うことあるか?」

 そんなところに、屋敷の主人である外園が現れる。

 数日程屋敷を空けていたが帰ってきていて、丁度料理を終えた所のようで、食堂に料理を運んでいた。

「いえ、丁度終わったところですよ。おや?知らないお顔がお二人程。」

「あぁ、そういや入れ違いで会ってなかったっけ。清華ちゃんと修平君だよ、青龍と白虎の守護者だ。」

「初めまして、外園と申します。この屋敷にて、皆さんのサポートを勤めさせていただいてます。」

「あ、河伯修平です。」

「鈴ヶ峰清華と申します。」

 紳士風な挨拶をする外園、かけているべっ甲の眼鏡をくいと持ち上げると、清華と修平を値踏みするように見つめる。

「ふむ、お二人ともある程度の強さはお持ちのようで。」

「唐突に何のお話です?」

「まあ修行の成果はあったようで、安心してるという事ですよ。」

「外園さん、あんまり子供らをいじめなさるなや。」

 ムッとした様子の清華と、ニヤリと笑う外園、そんな二人を止めたのは、ディンだった。

「外園さんは悪い人じゃないんだよ、ただなぁ。少し人を煽る癖がな。」

「……。」

「煽ってるなんて人聞きの悪い、そんな品のない事はしませんよ。」

「そういうとこだぞ、外園さん。」

 笑いながらため息をつくディン、外園はそれが面白いようで、くすくすと笑っている。

「今は飯にしようじゃないか、竜神王サンよ。」

「それもそうだな、冷める前に頂かないと勿体ない。」

 じゃあ行こうかとディンが号令を取り、七人は食堂へと向かっていった。



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