告白
第8話
●告白
「隼人君、悠羽とは学校で別れただけで会ってないよね?」
「はい。ていうか俺、撮影があって早退したんで。悠羽、まだ帰ってないんですか?」
「ああ」
「バイトは?」
「今日は、休みって言っていたから。携帯に連絡しても連絡つかなくて」
「……………」
「もしかするとバイト入ったのかな? 友達に連絡してみます」
「ああ、申し訳ない。お願い出来るかな?」
「はい。俺も心配なんで」
そして ―――
「稔紀さん、悠羽、急遽バイトが入ったらしくて連絡する暇がなかったみたいです。俺、迎えに行って来ます」
「すまない。迷惑かけて」
「いいえ、大丈夫ですよ。気にしないで下さい!」
そして隼人が迎えに来るとは思わず普通に帰っていると ―――
「悠羽」
「うわっ! ビックリした! 隼人ぉっ!?」
「バイトだったんだって? お疲れさん」
「あ、うん。つーか寿命縮まったし!」
「悪い悪い」
「お兄ちゃん心配してたでしょう?」
「まあな。勿論、俺も心配したけど」
「えっ?」
「俺、撮影で早退したし」
「そうか。そうだったね。いや、連絡しようしたけど、連絡する暇なくて、しかも携帯の充電切れ」
「そうだったんだ。充電器持ち歩いたら?」
「それ良いかも!」
「俺は、持ち歩いてるけど。家用と仕事用として」
「隼人は、撮影となると、一日中だから」
「まあな」
私達は、色々、話をしながら帰るのだった。
――― ある日の事だった ―――
「悠羽ちゃーん」
手招きする隼人。
「何?」
隼人の所に歩み寄る。
「廊下で人が呼んでる」
「廊下? 分かった」
私は廊下に出る。
「あの……」
廊下で背を向けて立っている人に声を掛けた。
振り返る人影。
男子生徒だ。
「あっ! すみません。今日の放課後、屋上に来て下さい」
「えっ?」
聞き返す事なく、男子生徒は、足早に走り去った。
「……………」
「今……屋上って言ったよね?」
――― そこへ ――――
「告白だろう?」
ビクッ
突然、声がし驚く私。
振り返るとドアに片側だけ寄り掛かるように重心をおき腕を組んで凭れ掛かるように立っている隼人の姿。
ドキン
胸が高鳴る私。
元々カッコイイ為、ドラマのワンシーンのように様になりすぎて更にカッコ良く見えてしまう。
「ありきたりだしな。呼び出して下さいっつーの? 悠羽ちゃんにも春が来るのかな?」
「そんなの決まった訳じゃないし」
「いやいや決まってるでしょう? だって悠羽は、可愛いから」
ドキッ
胸が大きく跳ねた。
ドアから離れると私の頭をポンポンとする。
その不意の行動に更に胸が高鳴る。
ズル過ぎる。
相手が相手だ。
自分がドラマの女優さんになった気分になってしまう。
「俺が選んだ女だから」
「!!!」
カァァァッと、一気に上から下迄、体が熱くなるのが分かった。
「おっ♪ ナイスリアクション!」
明らかに楽しんでいる。
「は、隼人、ズル過ぎるっ!」
「何が?」
「仕事を武器に色々と仕掛けるからっ!」
「仕掛ける!? いやいや、俺は何もしてないし!」
「じゃあ、無意識にしてるの? 計算じゃないわけ!?」
「計算する理由が分からない。素直に行動うつすだけ!」
「計算じゃない所が怖い……」
「えっ!?」
「それは世の中の女子が、胸キュンするし、ハート持ってかれるはずだね? 私も騙されそうになる!」
「悠羽?」
私は教室に戻る。
――― その日の放課後 ―――
私は屋上に行き、既に、男子生徒がいて私に気付く。
「ごめん」
「いいえ」
「俺、希佐良 友志って言うんだけど……今、彼氏とか好きな人いたりする?」
「いいえ。男の子と縁がなくて……」
「そう? 君、モテ系な気がするんだけど」
「いいえ……全く……」
「そうなんだ……じゃあ、単刀直入に君の事が好きなんだ。付き合って欲しい」
「えっ!?」
「ゆっくりで良いから」
私は迷う中、1個上の先輩と付き合ってみる事にした。