マスコミ
第6話
●マスコミ
由希君の紹介で、バイトをする事になった私。
アクセサリーや小物を扱うお店で芸能人が出入りしている事を知った。
店長の・辿道 奈津季さん。
凄く良くしてくれて由希君は、お姉さんが奈津季さんと友人らしく顔馴染みとの事だった。
ある日のご飯中の事 ―――――
「悠羽、バイトの方はどうだ?」
「うん、凄く楽しいよ」
「そうか。それなら良かった」
「心配しなくても大丈夫! 隼人の友人の紹介だから安心して働ける所だよ」
「ああ、俺も安心したよ」
「ねえ、お兄ちゃん。ところで結婚は考えてないの?」
「えっ? 結婚?」
「うん。真理絵さん美人だし、付き合ってどれ位になるの?」
「1年過ぎて2年目」
「そうか……羨ましいな」
「えっ? お前もそういう相手見付けたら良いだろう?」
「出会いないし」
「じゃあ隼人君の専属彼女? いや直属彼女か? 結婚前提彼女か?」
「えっ!? いや……専属とか直属とか……お互い選ぶ権利あるし」
「悠羽。お前が、ここから通う事が出来たのは、隼人君の後押しのお陰なんだ」
「えっ!? そうなの?」
「ああ、俺も本当は通わせたいとは思っていたんだけど、親代わりになるし、一人でお前の面倒とか何かあったらとか不安があった。そうしたら、隼人君が俺達も協力しますって言ってくれたんだよ」
「隼人が言ってくれてたんだ……」
「ああ。隼人君、業界の人間だし、やっぱり色々あるし、恋愛に関しては、ありのままの自分を好きになってくれる人が良いんだと思う」
「まあ、プライラベートは自分の時間が必要だからね。全てにおいて受け入れてくれる人が良いんだろうね」
ある日の朝の事 ―――
「すみませーん」
マンションの建物前。
マスコミらしき人が私に声をかけてきた。
「あの、ここの住人の方ですか?」
「そうですけど……」
「あの少しお時間……」
「無理です! 失礼します!」
私は走り去った。
そして、学校の門の前でも ―――――
「ここでも?」
私は足を止める。
「おはよう、悠羽ちゃん」
「あっ! おはよう、由希君。ねえ、このマスコミ何の騒ぎ?」
「今朝のニュース見てない感じ?」
「ニュース? 見てない」
「じゃあ、無理もないか。隼人の事がニュースであって」
「何? アイツ何かやらかしたの?」
「いや……隼人に付き合っている女優さんがいるって報道されて」
「へぇー、まあ業界じゃ、そんなの当たり前でしょう?」
「それが、今回は相手のラブラブから始まった騒動が報道されちゃって」
「あー、それはキツイね」
「付き合っているとか全くないから、スッゲー迷惑がってた」
「で? その本人は?」
「自宅待機」
「そうか……」
私達は避けて通れないマスコミの前に向かう。
「あっ! ねえ君達、ちょっと良いかな?」
「……………」
私はマイクを取り上げた。
「帰って下さぁぁぁーーい! 他の生徒の迷惑になりまぁぁぁーーす! 撤収、撤収! 撤収してくださーい! 誰の許可撮って撮影されてるんですかぁぁぁーー?」
「ちょっと君っ! マイク返しなさいっ!」
スッ
マイクを取り返そうとするマスコミの人に対して、マイクを遠ざける。
「やだっ! みんな連れて帰るなら、お返しします!」
「君ねー、仕事の妨害してるよ! 俺達は仕事なんだから!」
「人の迷惑になる事が仕事なんですか? 通学中なのに、生徒含む先生方、学校の通学の邪魔です!」
「す、すみません。ほら、行くよ!」
私は由希君にマスコミから引き離される。
「相手が悪いから無視、無視。根掘り葉掘り聞かれるから相手しないの! 週刊誌やマスコミは仕事の為なら、あの手この手を使うから」
「だってさ、マンションの前にもいたからウザくって」
「仕方ないよ。とにかく相手しないのが一番だから」
今日は一日中騒がしく、相変わらずマンションにも夕方いた為、適当な理由を付け一先ず無視した。