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ファーストキス

第3話


●ファーストキス


「稔兄、今日、何食べる? バイト、まだ見つかりそうにないし。しばらくは私が夕飯作る。それとも彼女の手料理にする?」


「えっ!?」


「隼人君から聞いたよ。隣のお姉さんと付き合っているんだって?」

「えっ? あ、まあ……」

真理絵(まりえ)さん美人だよね。あっ! そろそろ時間だ。はい、お兄ちゃん行ってらっしゃい!」



私は追い出すように押し出した。



「帰る時、連絡頂戴!」



そして、私も学校に行く準備をし学校へ行くのだった。



「ねぇ、裕香、今日、何食べたい?」

「えっ?」

「今日の晩ご飯のおかず何しようかな? って思って」

「ハンバーグなんてどう?」



男の子の声で割って入る人影。



「ハンバーグかぁ~。この前したんだよねー……ん? うわっ! 隼人っ!」

「おっ! 呼びすて! 良いね♪」

「えっ!? あっ!」

「別に気にしないから呼びすてにすれば? その代わり俺も悠羽って呼ぶけど?」


「いやいや」

「良いじゃん! で? ハンバーグが駄目なら、オムライスは? 美味しいよ♪」

「オムライス……子供じみたリクエストだね」


「えーーっ! 良いじゃん! なあなあ、裕香ちゃんオムライスとかハンバーグ駄目?」

「うーん……私は別に……」


「駄目、駄目! 23歳の兄貴に食べさせる料理じゃないってば!」

「ファミレスにもあるんだから年齢関係と思うけど?」

「た、確かにそう言われると、そうなんだけど……ねえ隼人の所……あっ! 隼人君の所は、どういう料理作る?」


「別に良いのに呼びすてで。家は和食かな? 肉じゃがとか煮物とか?」

「和食? うーん……味付け難しそうだね」

「そうか? この際、これを機に花嫁修業したら良いんじゃないの?」

「は、花嫁修業!? まだずーっと先の話しだよ」

「まあ、難しく考えなくても良いんじゃない? お腹に入れば一緒!! と、いう訳で悠羽ちゃん、まあ、頑張りたまえ」



そう言うと私達の前から去った。



「隼人君、誰にでも対等だよね?」

「確かに対等だからこそ、友達多いんだろうね」




その日の夕方 ――――



ガチャ

加賀家と藍上家を繋ぐドアが開く。



「こらっ! 隼人っ!」

「うわっ! ちょ、ちょっと包丁振り回してんじゃねーよっ!」


「あんたが悪いんでしょう? あんたの事ミンチにしてやるわ! さぞかし美味しい、おダシと極上ミンチが出来るんじゃないかしら~? フフフ……包丁研いだばかりですものね~」


「ミンチで俺をハンバーグか肉団子にする気かよ!」

「さぁて……何処から行こうかしら~?」



加賀家の姉弟が、藍上家に乱入し部屋の中を走り回り鬼ごっこ状態。


この光景は、日常茶飯事に近い程、見受けられる。


喧嘩する程、仲が良いというのは確かなんだけど………………




ドタドタ……ドタドタ……

走り回る姉弟。



「……………」


「こらぁーーーっ!」



ピタリと二人の動きが止まる。



「暴れるなら外か、もしくは自分達の部屋でお願いします」



私は二人を追い出す。



「全く!」



その直後 ―――――



「ただいまー」

「あっ! おかえり」



そして、お互いの夜は更けていく。



その日の夜、私は、ふとトイレに起きた時、稔兄の部屋からうっすら灯りが漏れている。



「あれ? 稔兄、まだ起きてんのかな? それとも電気つけっぱなしとか?」



私はドアノブに手をかけゆっくりと開けた。




次の瞬間 ―――――




ドキーーッ

私はドアを閉めた。



「……………」



ドアを開けた瞬間、私の目に飛び込んだのは男女の裸姿。

甘い声が漏れていた。


私は自分の部屋に行く所か隣の部屋に行った。



「……………」



パチッ

電気がついた


ビクッ

驚く私。



「なんだ姉貴かと思ったらお前かよ。姉貴だったら茶化そうと思ったけど」

「茶化す?」

「今、最中にしちゃ早ーーと思って」


「えっ!?」



私はさっきの光景が脳裏によぎり顔が真っ赤になった。



「うわっ!……何? その反応……」


「……………」


「いや恋人同士だしHは付き物だろう?」

「Hぃぃっっ!?」


「…………」


「えっ!? まさか結婚するまでHは抜きって……? それは浮気されるって……まさか、お前そういうタイプ?」


「ち、違いますっ!」

「つーか……その反応……純なだけ? それとも他に理由あり? とりあえずコーヒー作る。どうせ戻れねえだろう? そこ座ってな」



私は椅子に腰をおろす。



「ほら、コーヒー」

「あ、ありがとう」

「なぁ、お前結構イケてるし、Hの経験、1回や2回はあるだろう?」



首を左右に振る。



「またまた~」


「……………」


「その反応ってマジ?」



こくりと頷く私。



「15年間生きて……恋もしたけど片想いばっかで……」

「告白しなかったの?」


「恋愛になると、凄い奥手で……友達とか、中2位から付き合ったりしていたの見ると正直羨ましくって……良いなぁ~って遠くから眺めてた。好きな人と肩並べて歩いてみたり、手を繋いで街歩いてみたりしたいなぁ~っていつも思ってた」


「……悠羽……」


「や、やだっ! ごめんっ! は、恥ずかしい……」

「良いじゃん! お前はお前らしくしてれば」

「えっ?」

「……俺……お前とマジ恋したくなった」



ドキッ

胸が大きく跳ねた。



「えっ? あ、あの……私よりも良い子いるじゃん! 女優さんとか、私以外沢山いる……」



キスされた。


ドキッ

私の胸が大きく跳ねた。



「……………」


「あんたの事、本気(マジ)になった時、一生俺の女な! 契約キス」



ドキーーン

意外な言葉に戸惑う中、胸が大きく跳ねた。



「わ、私だって選ぶ権利あるよ! それに色気とか全然ないし」

「じゃあ、俺がイイ女にしてやるよ!」

「そういう問題じゃないよ! 第一、隼人は演技して、からかってんでしょう?」

「演技じゃねーし。俺、マジっつったらマジだし!」


「……………」




私達の夜は更けていく所か明けていくのだった。








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