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第一話 バス停の少女
ある六月の雨降る日、俺はある少女に出会った。ーーーー
父親の転勤で地元を離れて公立東町高校に転校してきた俺は、登校初日のバス停で少女が立っているのが見えた。
よく目を凝らしてみて見ると、同じ学校の制服を着た、色白の女の子だった。
学校から少し離れた他の家が無いような場所に引っ越してきたので、バス停には一人だと思っていたが、そこには確かに少女の姿があった。
さすがに一人で雨の中バスを待つのは心苦しいと感じていた僕にとっては、うれしいことであった。
転校初日で初めての挨拶をする決意を固め、少女の元へ行こうとしたとき、彼女が落としたであろう白色に輝いているように見えるハンカチが地面にあった。
それを拾い挨拶をする。
「おはよう。これ君の?」
と白いハンカチを渡した途端に、手に持っていた小説を落とし驚いた表情でこっちを見た。
「え、ちがった?」
と言うと。
「これが見えるの?」
と返してきた。
わけが分からないまま、困っていると「本当にありがとう。」と言い放ち。
バスも乗らないままどこかに行ってしまった。