3話
「宮前さん、大丈夫そうでしたか?」
通話を終えても、携帯をじっと見ていた山上に颯介がたずねた。あまり冬四郎とは仲が良いとは言えない、颯介ではあるが、やはり今は心配なのだろう。
「まぁ…大丈夫だろ」
「だと、いいですけど。これ…バッテリーないんで、コンセント差しながらじゃないと使えないですが」
めちゃくちゃになった事務所内のパソコンはすぐには、復旧出来そうにもなく、颯介は倉庫から引っ張り出してきたノートパソコンの電源を入れて、きちんと動くか確認していた。
「十分だ。ありがとうな」
「社長も寝た方が良くないですか?」
「あーまぁな…」
「ドアの修理、俺が居れば良いと思いますよ?」
「いや、それもそうなんだけどな…そうするかな…着替えたいし。1回帰るとするかな…」
「1回?また戻ってくるなら、俺はこのまま仕事しながら待ってますけど」
仕事の日の変更の連絡は、それぞれの依頼人にし終わっているのだから、颯介もドアの修理が終わり次第、帰っても良いと言ってあった。それに、夜の事を軽く説明をしたのだから、何がどうなるか分からない状況で、颯介を1人でここに居させるのは危険な気もした。それでも、颯介が残ると言ってくれていた。山上は少し悩んだ結果、頷いた。




