3話
朝、いつもより早くやってきた颯介は廊下を歩きながら、事務所のドアがへしゃげて開けっぱなしになっているのに気付いた。昨日の夜、やはり何かしてたんだなと思った。それを思ったからこそ、早めにやってきたのだが、色々と遅かったかと思った。
「おは…よう、ございます」
ドアをくぐると、事務所内はそれこそ足の踏み場もなく、めちゃくちゃに荒らされていた。窓は割れているし、机の上の物はあっちこっちに落ちているし、ビールの空き缶は転がっているして、何があってこうなったのか、全く予想がつかない状況になっていた。
「よぉ…悪いな。しばらく休業だ」
机の上に足を乗せて、椅子にもたれていた山上は挨拶がわりに手を上げると、申し訳なさそうに笑った。
「何があって、こんな事に?」
「ん、まぁ…何だ。片車輪が言ってた妖狙いの通り魔が来て、そこに男が乱入して暴れ回った結果ってやつだな」
「男が乱入?」
「あぁ…俺もよく分からねぇ。けど、みやが少しは修繕費用出してくれるそうだ。あと京井さんもな」
「やっぱり、宮前さんここに泊まったんですね。篠田さんたちを送りに行くのに、また戻ってくるみたいなニュアンスで言ってましたもんね。京井さんもここに?」
「あぁ、妖が2匹も居て暴れたら…こうもなるもんかねぇ」
「被害は少ない方なんじゃ…?」




