2話
捕まえておけと言われて、簡単に捕まるわけにもいかず、言われた方は床に落ちている硝子の破片を掴むと京井に投げつけた。ぱらぱらと細かい破片が顔に当たると、邪魔そうに顔を振った。だが、その程度では目潰しにもならなかった。
あっという間に間合いを詰め、首に手をかけて壁にどんっと押し付けた。人の足ではないからか、京井の動きは素早い。あっさりと捕らえられたが、抵抗を辞める気はないようだった。
手に残っていた硝子の破片を投げ、首を掴んでいる京井の大きな手を引き剥がそうとしている。首は絞まってなくとも、がっちりと壁に指が埋め込まれているかのように、びくともしない。爪をたてて、引っ掛かれようとも京井は手を放さない。だが、肘を思いきり膝で打たれると流石に痛んだようで、手を放してしまった。
どさっと床に倒れた相手の覆面が、取れかかっていた。あれだけ派手に動き回れば、布で巻いて止めてあろうとも、緩んでくるのだろう。それに気付いていないのか、相手は京井から逃れようと床を転がった。
「京井さん‼構うな、気絶くらいならさせても良い‼何かしらの手がかりだ‼」
山上にそう言われ、京井は手加減をするのをやめたのか、相手の腹を蹴った。




