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1話
「ふーん?いつもなら、湯野ちゃんか俺の携帯にメールしてくるはずだよな?」
「そうですよね…それさえも面倒くさかったって事なんでしょうか?」
画面を覗き込んだ山上は、文章を読むとまたうなった。だが、特に変な部分は見付からず首を傾げただけだった。
「一応、返事返して。休みにしといてやってくれ…ったく、疲れが出たのか?」
「かもしれませんね」
言われた通り、颯介は短い文章を打ち込み送信した。山上は少し心配そうにしつつも、返事が出来るなら大丈夫だと判断したのかマグカップを持って席に座った。そして、パソコンの電源を入れると珍しくも仕事を始めた。
何となく、むつにしては珍しい事ばかりに颯介は落ち着かない気分ではあった。普段、体調不良でも病院に寄ってから来たり、最低でも電話連絡のはずのむつがメールで済ませるにしてもパソコンに返信をしてくるのは、変だった。
山上と共に、帰りにでも様子を見に行ってみようかとも思いながら、颯介は仕事を片付けるべくメール画面を閉じた。
本当に仕事を始めているのか、山上の机の方からがかたかたとキーボードを打つ音が聞こえてきていた。社長が仕事をしていて、自分がしないわけにはいかない。颯介は気持ちを切り替えるように、コーヒーをすすると昨日どこまでやったかを思い出すように、画面に目を向けた。




