2話
避けながら、京井は何とかして相手の動きを封じなければと考えていた。だが、相手はちょっとやそっとでは痛みを感じないようだった。何度も京井に避けられ、壁を殴るだけだったが、京井が避けた時に、相手はさっと手を太もも辺りに滑らせた。そう思った時には、京井の元に何本もの針のような物が飛んできた。ばしっと手で払い除けていると、突っ込んできた相手の体当たりを食らった。
構えてもいられず、体当たりを食らい京井は倒れた。その上に馬乗りになった相手の手には新たに刃物が握られていた。どこに隠し持っていたのか、先程のよりは短いそれが、京井目掛けて振り下ろされた。咄嗟に京井は、その相手を振り払った。手加減をしたつもりだったが、犬神の力のせいか吹き飛ばされた相手は壁にぶつかり、ずるずるとしゃがみこんだ。気絶でもしたのか、動かない。
その隙に京井は片車輪の方に向かった。片車輪は振り下ろされた腕を掴み、相手の腹に膝を打ち込んでいた。
「っ…何か固いんやけど」
「たぶん、防具のようなものを着けてます」
「攻撃は通用せぇへんのかいな?」
「そんなはずは…っと‼」
京井は片車輪の頭を掴んで、しゃがませた。びゅんっと何かが前方から飛んできて、壁に当たった。
「宮前さんっ‼」
ドアの前には息を切らせた冬四郎が立っており、何かを投げつけたようだった。




