2話
「こいつらが…襲ってきたやつか?」
山上が聞くと、片車輪は曖昧に頷いた。
「前もこないやって顔は知らんけど、こいつやな…前は1人やったけど今夜は2人かいな」
「なかなか手強いですね」
机の上に乗っていた京井はとんっと降りた。そして、袖のボタンを外すとくるくるっとまくった。戦う気満々のようだ。そんな、頼りがいのある京井をちらっと見た山上は、大丈夫そうと判断したのか片車輪と1人を相手にする事にした。
相手の2人は喋る気がないのか、手にしていた刃物のくるっと回して持ち直した。刃物は、短刀のような長さのある物だった。相手が手強いとなると、あまり間合いを詰めては危険な気がした。
覆面をした者たちは、顔を見合わせた。言葉のやり取りはないが、意志疎通出来てるのか、こくりと頷いた。京井と向き合っている覆面の者は、特に刃物慣れでもしているのか、くるっと回した刃物を腰元の鞘にぱちんっとおさめた。そして、ぐっと腰を落とした。机を挟んでいるとは言えど、そんな障害物は大して邪魔にもならないかのような素振りだ。
そして、一呼吸を置くと椅子に足をあけてとんっと机の上にのぼった。がちゃがちゃと置いてある物を、邪魔そうに足で払って床に落とした。ゆっくりと歩くようにして、京井との間合いが詰められていく。そのやけに余裕な姿に、京井は寒気を感じていた。人間ごときにと、軽く考えていたのが今更、後悔された。




