2話
危なげに避けた片車輪は、すでにバランスを崩しかけていた。京井を襲った者とは比べ物にならないくらい、相手は素早い。京井は片車輪を助けようと、手を伸ばしたがその前にすぐ横から、また刃物が向かってきていた。飛ぶように避け、机の上に上がった京井は片車輪を見た。確実に助けるには間に合わない。
だめだと片車輪も思ったようだったが、奥のソファーとを仕切っていたパーテーションが倒れ、そこからにゅっと腕が伸びた。その手が片車輪の襟首を掴んで引っ張った。
「ばか野郎‼油断すんな‼」
起きていた山上が怒鳴り、大きな身体の片車輪を投げるようにして位置を入れ換えた。そして、先程まで使っていた毛布を投げつけた。それでも相手は怯む事なく、そのまま突っ込んできた。刃物を持っている相手への効果的な対処法だったはずだが、何の効果もなかった。横目でそれを見た京井は、机の上のマグカップを蹴った。びゅんっと飛んだマグカップは、相手の目の前を通りすぎ窓を割って外に落ちた。がちゃんっと割れる音が聞こえてきた。
片車輪と山上よりも京井の方が手強いと思ったのだろう、立ち止まった何者かは京井を見た。
突然、事務所に踏み込んで来た2人は、どちらも布で顔を隠している。かろうじて見えているのは、目元だけだった。同じような黒い服に身を包み、プロテクターのような物でも着けているのか、背丈は違っても体型は同じような感じだった。




