2話
片車輪に起きていて貰う事にし、京井は椅子にもたれて目を閉じた。毛布があるからか、あまり寒くはないが外は風が強いのか時折、窓ががたがたと鳴っていた。こんな日は、物音が拾いにくい。出たとこ勝負だなと、京井は思うことにして眠る事にした。
眠るといっても、夜も遅い時間になってきたせいか、耳に神経が集中しているせいか、眠りにつく事は出来ない。それに、冬四郎が戻ってこない事も気がかりで仕方なかった。
しーんとして物音がしない時間が過ぎていった。その静寂を破るようにして、かたんっと隣で音がした。京井が薄目を開けると、片車輪が立ち上がり身体を捻ったりしている。じっとしていられないのだな、と京井は思いまた目を閉じた。だが、すぐに目を開けた。それと同時くらいにどこからか、携帯の鳴る音がし、すぐに切れたようだった。
京井は動きもせずに、目をまた閉じた。そして、耳に全神経を集中させるようにしていた。風のびゅーびゅーという音に混じって、微かに足音が聞こえてきた。かつかつと急いだ様子もなく、慎重に、あくまでも足音をさせないように忍んだような足音だった。誰かがこっそりと階段を上がってきているようだった。




