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2話
山上と2人きりになった片車輪は、気遣わしげにちらちらと山上を見ていた。何か言いたそうで、なかなか言えないでいる。そんな様子だった。
「なーんだよ、鬱陶しい」
視線に気付いていたのか、タバコをくわえたままの山上が片車輪を睨んだ。
「人の姿も疲れたんや」
人の形でいる事に慣れていない片車輪が、そう呟くと山上に苦い顔をした。本来の姿に戻るなとは言えないが、戻られるとサイズが大きいだけに邪魔になる。山上は悩んだすえに
「小さめになれるなら戻ってもいいぞ」
と言った。そんな簡単にサイズを変えられるわけでもなく、片車輪は舌打ちをした。そして姿を戻す事を諦めたのか、大人しく人の姿のままで居た。
会話もなくただ、ぼんやりと事務所にいるとやがて、廊下から足音が聞こえてきた。暗くなりビルの中も外も静かになってきているせいか、足音がやけに響いて聞こえてくるようだった。山上と片車輪は、ごくっと喉を鳴らした。きいっとドアが開く頃には、山上はいつでも動けるように立ち上がっていた。だが、入ってきたのは京井だった。
「すでに臨戦態勢ですか?」
くすっと京井が笑った。警戒しすぎていた自分が恥ずかしいのか、山上はむっつりとした顔で黙っていた。




