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2話
「私や片車輪みたいなのは、そうですね。心臓を一突きでも死にます…ですが、憑喪神をご存知ですか?」
祐斗は、以前に憑喪神が暴走した事件をむつと颯介と一緒に解決の為に奔走した事を思い出して頷いた。祐斗が頷くのを横目で見た京井は、微笑んだ。
「憑喪神は本体である物を壊されれば死にます。と、言っても妖怪はそんな簡単に死ぬものでもないんですよ」
「せやな…でも、釣瓶火は死んだ」
きしっと椅子を軋ませて、片車輪は背もたれにもたれると呟いた。その言い方は、とても悲しげでそして恨むような響きが含まれていた。釣瓶火が死んだと聞いた祐斗は、目を見開いて驚いていた。
「だんだんと弱っていって、消えていったんや。せやから、おねぇちゃんみたいな力のあるやつの仕業じゃないやろうな」
「そうですね。むぅちゃんみたいな人間がしたのなら、その場ですぐに消えたでしょうね…苦しみもせずに。片車輪でも危なかったほどの相手なんですか?」
「あぁ…あれはただの人とは違うやろうな」
片車輪はそう言っただけで、あとはもう思い出したくもないのか、口を閉じると背を向けてしまった。祐斗と京井はそんな片車輪の寂しそうな背中を見ていた。




