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2話
祐斗はいつのかも分からないカステラとパウンドケーキの小皿を、冬四郎の前に置いた。冬四郎は普段、むつが使っている席に座って、机の上のよく分からない人形をいじっていた。
「大丈夫ですか?」
「ん?あぁ…大丈夫だよ。谷代君は?ちゃんと授業受けてきたかい?」
颯介からむつが行方不明とのメールを貰った祐斗は、のんびり授業を受ける気にもなれず、4限目をサボっていた。だが、冬四郎に聞かれるとこくりと頷いてしまった。少し悩んだ祐斗に気付いたのか、冬四郎は苦笑いを浮かべた。
「サボらせちゃったみたいだね」
「あ…はい。すみません…授業聞いてる気にはなれませんでしたし…それで、むつさんは?」
「まだ…全然だよ。谷代君は心配しないで、ちゃんと授業は受けなさい」
やんわりとだが冬四郎に注意をされた祐斗は、こくりと頷いた。あまり冬四郎から、そんな風に言われた事がなかっただけに、新鮮だった。
「はい…僕にもお手伝い出来る事があるなら何でも言ってくださいね‼それにしても…むつさんに言ったんですけどね」
「何を?」
「最近、変な人多いからあんまり遅くならないようにって。大学でも通り魔にあった人とか居たみたいなんで」
祐斗が溜め息まじりに言うと、祐斗以外の面々が顔を見合わせた。




