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2話
マグカップを渡された祐斗は、甘そうな香りのするカフェオレにほっこりとした笑みを浮かべた。山上がお盆にコーヒーを並々といれたカップを並べているのを見ると、祐斗はマグカップを置いてお盆を持った。
「悪いな。みんなに持ってってやってくれ。あと、何かないか?つまめるもんとか」
「あーそれなら戸棚にないですか?」
祐斗がお盆を持って出ていくと山上は、戸棚を開けて中を見ている。クッキーの缶にカステラの箱、チョコ味のパウンドケーキなんかがある。いつから、あったのかと首を傾げながら見ると、少し賞味期限を過ぎていた。だが、封を切ってないから大丈夫だろうと山上は、ぴりぴりと開け始めた。小皿に切ったカステラもパウンドケーキも乗せると、それを持って行った。
「それ…大丈夫でしたか?」
「ん?あぁ、大丈夫だろ」
お盆を持って戻ってきた祐斗が、小皿のカステラとパウンドケーキを見て、首を傾げた。だが、山上は賞味期限切れてたとは言わなかった。




