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8話
じっと炎を見つめて、大きく深呼吸をすると、するっと足を踏み外すかのように炎の中に、すとんっと落ちていった。
完全に1階部分の床は抜け落ちており、りぃは地下の辺りまで落ちていった。だが、炎で焼かれている柱や壁が重なるようにしてあり、思った以上に炎の中に身体が沈んでいった。
息をすれば喉が焼けてしまいそうな熱風と避けきれない炎の中、目を開けている事もままならない。
「むつ…むつっ‼」
口元に手を当てたまま、息を吸い込み声の限り、名前を呼んでも返事はない。
自分がどこに居るのかも分からないままに、1歩を踏み出すとすでに歩ける部分はなかったのか、炎の中に足を突っ込んだだけで、そのまま落ちた。顔の前で腕をクロスさせて、炎を防ぐのがやっとだった。




