8話
とんっと降りてきたりぃと呼ばれるようになった男は、むつの手から狐を受け取った。
「ふーん…あたしより、そいつの側が良いってか。もう、それならそう言ってよ」
むつは狐の鼻を軽く、でこぴんした。
「…っう…酷いです‼そりゃあ、むつ様も好きですけど、私の主は1人ですから」
「分かったよ。ま、彼と一緒なら大丈夫かな。また逢えるかもしれないし」
むつはりぃの方を向いた。仮面はむつに渡してしまっているからか、インナーのタートルネックを伸ばして口元を隠している。むつはそのインナーを下ろそうとしたが、ばしっと手を叩かれた。
「けーちっ」
「…お前に頼みがある。ここを焼き尽くせるか?」
りぃが言うと、むつは大きく開けた目で瞬きを繰り返している。焼き尽くすという事は、証拠が残らないようにして欲しいという事だ。
「だ…ダメだ。証拠がなくなるだろうが‼それに、まだ瓦礫の下にいるんだろ?お前の仲間たちが」
冬四郎が抗議の声を上げると、りぃは少し悲しげに目を伏せた。
「…あぁ、もう死んでるがな」
「だから、自爆もしなくなったのね」
「あぁ、ここの…責任者は誰かに食い千切られるようにして死んだからな。あれが、むつとこいつらに呪をかけていたんだ。むつももう大丈夫だろ?」




