8話
「おい、動くな」
西原が近寄ろうとすると、男は覆面を外した。ずるっと落ちた覆面の下から現れた顔は、やけに赤茶色の肌だった。つられるように、他の男たちもゆっくりと起き上がると、しゅるっと覆面を外した。どの顔も、赤茶色の皮膚をしている。それに、眉もなく輪郭も全く同じと言ってもいい程だった。その気味の悪い顔に、西原は足を止めて見入っている。
「…何だ?同じ顔か?」
むつは片車輪のうしろから出てきて、男たちを凝視していた。どこを見ても起き上がった男たちの、顔は同じにしか見えない。同じ顔の男たちは、じっと動かずにむつの方を見ているようだった。むつはその視線に耐えきれないように、身動ぎをしたが、足元に居る男に気付くと側にしゃがんだ。そして、覆面を剥ぎ取った。やはり、同じ皮膚の色をし、同じ顔にしか見えない。京井もむつの隣にしゃがんで、男の顎に指を添えて上を向かせたり、横を向かせたりしている。
「耳がない…」
「えぇ、切り落としたんでしょうね」
耳があるはずの部分に京井は指でなぞった。少し皮膚がぼこぼことしている。切り落としたのだと確信すると、京井はむつの方を向いて頷いた。
「…じゃあ、この顔は…」




