表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋-狩るモノ-  作者: 幹藤 あさ
52/542

2話

つられて冬四郎も振り返ると、片車輪の背中から肩にかけて、めらめらと燃える炎が立ち上っている。立ち止まった冬四郎の背中を京井が、どんっと突き飛ばした。それと同時くらいに熱風を感じた。勢いに負けるように目を閉じたが、熱さを感じたのはほんの一瞬に過ぎなかった。


「っ…と、大丈夫ですか?」


ふわっと柔らかい物に頬を撫でられ、冬四郎が目を開けた。すると目の前には、銀色物がゆらゆらとしていた。


「え…きょ、京井さん?」


冬四郎と山上は柔らかい物に引き寄せられるようにして、守られていた。目を開けて身体を引き寄せていた物が何かを見て、冬四郎と山上は揃って上を見た。


「はぁ…びっくりしましたね」


「何か色々こっちがびっくりだよ」


耳の方まで裂けそうなくらいに、にやりと大きな口を持ち上げ笑う京井の顔は人の物ではなかった。銀色の長い毛に、とてつもなく太い前足、それに長い尻尾。その長い尻尾が、からかうように2人の頬をするっと撫でた。


「犬神さんが居て良かった」


「居て良かったじゃないですよ。火事どころか、爆発騒ぎになりかねませんよ」


ぶるっと京井は身体を振るわせた。その身体には、火の粉が飛んでいてぱちぱちと音をさせていた。落とした火の粉を長い尻尾で、叩いて消しながら京井は溜め息を吐いた。


本来の姿になった片車輪は、少し斜めになっている。太い腕で天井に触っており、元の姿になったものの天井が低かったせいかぶつかりそうだったのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ