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8話
むつは炎をかざして、地下牢の中を見渡した。むつの炎で驚き、怯えている妖たちはむつが鍵を手にしていても、近寄ってこようとはしない。むつは近くに居た妖と目が合うと、ずんずんと歩んでいき、鍵を差し出した。
「みんなのも外してあげて。で、早く逃げなさい。もう…捕まっちゃダメだよ?」
「あ…あんた、一緒に捕まってた…」
「そう。仕返しに来たの」
鍵束を震える手で受け取った妖は、むつとその後ろからゆっくりとやってくる京井に、会釈をするとがちゃがちゃと手枷を外し始めた。ごとんっと床に手枷が落ちると、妖は言われたとおりに他の妖の所に走っていっては、鍵を外しにかかった。
「…上に行きますか」
「うん。しろーちゃんたち大丈夫そう?」
「大丈夫でしょう。片車輪がついてますし…警察だって言って踏み込んだ様でしたから」
「ふーん…ちょっと見たかったなぁ」
上に出る階段を見付けると、上から押し込んだ冬四郎、西原、片車輪に合流する為に急いであがっていく。




