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よろず屋-狩るモノ-  作者: 幹藤 あさ
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8話

「行ってくるね」


むつはそう言うと、河川敷に下りて背丈程もありそうな枯れ草の中に入って行った。がさがさと音を立てながら、川の上流に向かっていく。


はぁと吐く息は真っ白だった。ただでさえ薄着だったのに、上着を脱ぐいるせいでほんの少しの風でさえも、痛いくらいに冷たい。病み上がり、というよりもまだ熱も完全に下がっているわけでもなく、身体は怠いうえに関節が痛い。熱が上がるやつだなとむつは思ったが、引き返そうとはしなかった。


朝には帰ると山上と約束もしているし、何よりこうでもしないと自分の気がおさまらない。何も悪くもない妖たちを殺める為に日本刀が欲しいと、自分が拐われ監禁された事は仕方がない。だが、その日本刀を奪いたいが為に、何度となく襲撃を繰り返した事も、自身を助けようとしてくれた京井や片車輪に怪我をさせた事。色々な事が許せなかった。その原因となっている自分も、許す事は出来ない。だが、それでも帰ってこいと言ってくれる人が居る事を知ったむつは、尚更、黙っている事は出来ない。それが、やり場のない怒りをぶつけるような、八つ当たりだったとしても。


仮面の中で溜め息をつきながら、むつはがさがさと枯れ草を掻き分けて進んでいく。川の流れる音が、余計に寒々しく思わせる。むつは時折、背伸びをして河川敷の方を見た。りぃの話では、排水口が監禁されていた場所まで続いていると言っていた。

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