8話
「そう…だからね、一緒に探しに、ってか誰かが持ってるだろうから奪いに行くって言うから一緒に行こうとしたの。けど、意識を奪って絶対服従なら連れていくって言われたから、やめたの。そのあとは覚えてない。次に覚えてるのは遥和さんと寝た事。起きたら居なくて、しろーちゃんのベッドに潜ったのも覚えてる…次は日本刀を持った時。しろーちゃんが渡してくれた…」
むつは時おり、考えたり思い出すような素振りをしながら言った。
「そう、だから…考えた。自分が、ここに居るって事は日本刀を手に入れる為の囮なんだって思ったから、記憶のないふりをして…先輩と寝てる時、夜中に抜け出して遥和さんに話したの。考えを」
「むぅちゃんを殺すか、誰かを人質に取らせて…むぅちゃんがその人を殺すと見せかけて、彼らに反撃をする。ですね?」
「そう…あたしが日本刀を持ったって分かれば確実に来ると思ったからね。あたしは…ずっと監視されてたから。ま、あたしが死ねば確実に日本刀は奪われるかなーって思った。そしたら、今度はこっちから乗り込んでやるつもりだったけど」
「逃げましたね」
「待て待て。ざっくりし過ぎてないか?」
むつと京井だけが分かっているようで、冬四郎が困ったように2人の会話を止めた。
「うん…そんなにちゃんとした計画なかったから。あたしを殺して貰って日本刀を奪わせて、こっちから襲撃をかける。それか、あたしが服従してるふりを続けて誰かを殺して、あとの人には適当に逃げて貰うか…そのくらいの計画だったから」
冬四郎は腕を組んだまま、唸った。
「それで、後者の場合はどうするつもりだったんだ?」
「誰を殺すか?それは遥和さんかな。そのすきに、何とかしてみんなを逃がすつもりだった」
「…それじゃあ、結局お前は向こうに戻る事になるだろ?」
「うん。でも、誰も死なないし…あたしは何とかするつもりだったから」




