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7話
むつと京井がにらみあっているのを見ているしかない冬四郎は、さっと周囲を見た。先程まで取り囲まれていたのに、いつの間にか男たちの姿は1人として見当たらない。冬四郎は然り気無く、片車輪の隣に立った。
「…他のやつらは?」
「外に居るやろ。どっかで、ねぇちゃんの様子を見てるんやろうな…気配はすんで」
「そうか…」
「何するつもりや?」
「取り押さえる」
「無理やろ。犬神さんかて、手こずってんで?」
「遠慮してるからだろ?」
冬四郎は、じりじりと移動する京井とその動きを目で追っているむつを見ていた。目で追いきれなくなると、むつも少しずつ身体の位置を変えていく。
京井がドアに背を向けるようになると、リビングから出ようとするかのように1歩下がった。




