7話
「…お前用のだ。刀を差せるようにもしてある。試しに使ってみろ…改良が必要なら言え…った所でお前に意思はないか」
「意思のない女の子に殺しをさせるつもりか…くずだな」
ふんっと京井が呟いた。独り言にしては大きく、男にもはっきりと声は聞こえていたはずだった。
「片付いてから、意思も記憶も返してやるさ。そうすれば、自分が何をしたか分かるからな」
「…お前から殺してやろうか」
食いしばった歯の隙間から漏れるような声に、片車輪が少し京井から離れた。
「その前に、うちの新しいのとやれ…さ、お喋りはこの辺にしておけ」
男が1歩下がると、4人の顔を頭に銃をつきつけていた男たちも下がっていく。京井は頭に回していた手をほどくと、袖を少しまくった。腕には切られたような痕が、くっきりと残っていた。立ち上がり、膝をぱたぱたとさたいた京井は真っ直ぐにむつを見ていた。むつも京井の見ているようだが、京井と分かって見ているかは分からない。
立ち上がった冬四郎と西原、篠田、こさめの前には、片車輪が庇うように立っている。
「むつ、本気か?」
「本気やろうな…ねぇちゃんの意思かどうかは別としてやけどな」
冬四郎が傷付いたような表情を一瞬見せたが、むつは気付かないようだった。




