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7話
窓を破って入ってきた複数の足音があったにも関わらず、1階がやけに静かだった理由がすぐに分かった。
「直弥っ‼大丈夫!?」
片車輪から離れて、こさめは篠田の元に駆け寄っていく。篠田もだが、冬四郎、京井、西原は膝をついて手を頭の後ろで組まされている。京井が居ながら、抵抗も何もせず大人しくそうしているのは、頭の後ろに突き付けられている物のせいだろう。4人を取り囲むようにして、立っている覆面姿の男たちの手には、黒光する銃が握られている。
4人から離れて立っている大柄な男が、銃口を片車輪に向け、来いと言うような仕草を見せた。ちらっと階段を見上げると、鞘を拾いあげ刀をおさめたむつが、ゆっくりした足取りで歩いてくるのが見えた。舌打ちをした片車輪は、京井の隣で膝をつくと同じように手を頭の後ろに回した。
ハイカットブーツのごつごつと重たそうな音を響かせ、むつがリビングに入ってきた。
「…むぅちゃん…?」
「あの、くそ女…向こう側やわ」
吐き捨てるように片車輪が言っても、むつは表情を変える事ない。それどころか、興味がないのか誰の顔も見ようとしない。




