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7話
夕方になり、冬四郎と西原が一緒に戻ってきた。京井から、むつが部屋にこもっていると聞いた冬四郎は、様子をみに部屋にやってきた。冬四郎はノックをして入ったが、むつは眠っていた。
また熱が上がったのかと、ベッドに腰掛けそっと額に手を置いてみたがそこまで高そうな感じはしなかった。すると、それに気付いたのかむつは身動ぎをして目を開けた。
「あ…おかえりなさい」
「ただいま。また体調悪いか?」
布団から顔を出したむつは、ふるふると首を振った。だが、出てこようとはしない。寒いのか布団を引っ張りあげている。
「朝、無理したんじゃないのか?また食欲もないみたいだし…大丈夫か?」
冬四郎が心配しているのだと分かったむつは、冬四郎の太ももに顔を乗せた。腹の辺りに額をくっつけるようにして、むつが甘えてくると冬四郎は頭を優しく撫でた。撫でていた手を取り、頬に持ってくるとむつは両手で冬四郎の手をぎゅっと握った。布団の中に居るからか、むつの手は熱いくらいだった。




