7話
顔色もよく元気になってきたむつだが、やはり食欲はないようだった。味噌汁だけ、ゆっくりとだったが飲み干した。京井とこさめと一緒に後片付けをしたり、今までとは違ってあちこち動き回っている。だが、体調がまだよくないせいか疲れやすいようだった。
すとんっとソファーに座ったむつは、冬四郎の肩にもたれている。もたれながら、キッチンで立ち回っている京井とこさめを眺めている。するとそこに、風呂から出てきた西原が戻ってきた。
「西原君は出勤するのか?」
「えぇ。まぁ一応は出ないとですし…宮前さんはどうしますか?」
「俺もそろそろ仕事しないとな…」
「一緒に行きますか?メットもう1つありますよ」
「なら、頼もうかな」
冬四郎と西原が仕事に行くと分かったむつは、寂しそうに2人を見ている。
「…山上さんも篠田さんたちも居るから、な。夕方…遅くても夜には戻ってくるから。昼もちゃんと薬飲むんだぞ」
子供に言い聞かせるように冬四郎が言うと、むつは素直に頷いた。そして、西原の方に視線を向けた。
「…早く帰ってきてください、ね?」
「仕事行くのやめようかな。ねぇ宮前さん」
「いや、西原君は行けよ」
「はいはい。すぐ帰ってくるからな」
西原はむつの頭をわしわしと撫でて、んーっと言いながらむつの額に唇を押し付けた。むつからすぐに離れないからか、後ろから山上にはたかれていた。




