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7話
「まぁ…何でもいいか。西原君、そろそろむつを部屋に連れてってくれ」
「…えぇっ‼」
「何で驚くんだ?それも、ちょっと考えてから」
「いや、そりゃ…良いんですか?一晩一緒に過ごしても良いんですか?」
西原は念を押すように聞くと、冬四郎は渋い顔をしたが、頷いて見せた。それを見て、西原はいそいそと濡れた手を拭いてむつの所に向かっていく。
「宮前君、顔怖いよ?」
「本当は嫌なんだろ?」
「そんな事はありませんよ?」
冬四郎はそう言うと、ふふんっと笑みを浮かべて見せて皿と泡を水で流していく。
リビングの方では、くすくすと笑っていたむつが西原に声をかけられると、冬四郎の方を見もせずに手を引かれて部屋から出て行った。大人しくついていくむつを見て、冬四郎はつまらなさそうに鼻を鳴らした。




