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7話
ふぅと溜め息をついたむつは、こさめに寄り掛かって目を閉じた。こさめは猫をあやすようにして、むつの顎の下をかくように撫でていた。それを嫌とも言わずに、むつは片車輪の太い腕に自分の腕を絡ませるようにして引っ張った。急な事に驚いたのか、むぎゅっとこさめに2人分の体重がかかり、ぎゃあと女の子らしからぬ声を出していた。それを聞いたむつがくすくすと笑った。
「………」
久しぶりにむつが本当に、笑っている顔を見たこさめと片車輪は驚いたような顔をしている。キッチンで洗い物をしていた4人も、驚いてか手を止めてむつの笑顔に見入っていた。
「ちょっと慣れてきたんですかね?」
「どうだか…けど、人じゃないのに慣れてもなぁ」
「人じゃないのと女の子には、慣れるって事なんですかね」
西原がふーんと首を傾げながら言うと、冬四郎はうーんと首を傾げていた。少しだけ、噛み合っていない2人を山上と篠田がくすくす笑いながら見ていた。




