2話
冬四郎たちは、相手に分かりやすいようにとわざわざ電車と徒歩でゆっくりと、よろず屋の事務所に戻ってきた。ドアを開けた冬四郎は、すぐに閉めた。
「え?どうしたんですか?」
京井が驚いていた。だが、冬四郎は頷くだけで何も言わない。不思議に思った京井がドアノブに手を伸ばすと、触れる前にばんっと荒々しく開いた。危うくぶつかりそうになった京井だったが、そこは流石というべきか、ぎりぎりの所で回避していた。
「何か手がかりは掴めたか?」
ドアを開けた男は挨拶も何もなく、状況を聞いてきた。よほどに、気がかりだったのだろう。それは冬四郎にもよく分かっていた。それに、あまり寝ていないのか目の下には隈が出来ている。
「兄さん、落ち着いて。その話もしますから…危うく京井さんの顔にドアが当たりそうでしたよ」
「あっ…」
兄さんと呼ばれた男、宮前晃は京井とその後ろの髭面の男にようやく気付いたのか、恥ずかしそうに会釈をした。京井とは会った事があったが、片車輪とは初対面だった。髭面で強面、そんな男が冬四郎のいう、むつの世話になってる人で協力を引き受けてくれた人だとは、思えないという顔をしていた。
「あ、いや…すみません」
晃が中に入っていくと、京井と片車輪も続いて中に入った。最後に冬四郎が入り、ちらっと廊下に視線を向けてからぱたんっとドアを閉めた。
「何しに来たんですか?」




