7話
夜、夕飯の支度をしていたのは山上と篠田、こさめに片車輪だった。京井からいくつかレシピを聞き取っていたのか、そのメモを見ながらぎこちなく包丁を動かしている。冬四郎と西原はそれを遠目に見ている。4人がやるからと、2人はキッチンから追い出されている。
「不安だ…」
冬四郎が呟くと、西原はパソコンの画面から顔を上げて苦笑いを浮かべるだけだった。そして、何か気付いたように廊下の方に視線を向けた。磨りガラスの向こう側に、立つ人影が見える。立ち上がった西原がドアを開けると、素足のむつがぼんやりと立っていた。
「どうした?入って来たら良いのに」
「…京井さんは?」
「いや、まだ仕事かな?居ないけど…どうした?」
「…戻ってきたら、教えてください」
それだけ言うと、むつはふらっと階段の方に向かおうとしている。西原は咄嗟にその手を掴んだ。むつが、じっと掴まれた手を見ている。
「…起きてられるなら、こっちに居ないか?上、寒いだろ?みんな、夕飯の支度してるから、俺と宮前さんしか暇じゃないから…つまんないかもしれないけど。もうちょいで、夕飯も出来…出来るかも」
西原はちらっとキッチンの方を見てから苦笑いを浮かべた。だが、むつは無表情なまま立っているだけだった。




