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7話
冬四郎と片車輪が部屋から出てくるのを、待っていたのか階段の下には西原、山上、篠田、こさめが居た。
「…こさめさん、むつの側に居てくれますか?」
冬四郎が言うと、頷いたこさめは、とんとんっと階段を駆け上がって行った。ぱたんっとドアの閉まる音がすると、何があったのか聞きたそうな顔をしている3人に、冬四郎は首を振っただけだった。
「冷えてきたな…」
気を取り直すように言い、山上はキッチンに入っていった。水の流れる音と、かちんっとコンロに火をつける音が聞こえてくる。それと共に、タバコの臭いも漂ってきた。
山上が人数分のコーヒーをいれてくると、冬四郎はタバコを吸いながら、熱いコーヒーをすすった。熱いコーヒーが、喉を通り落ちていくのがよく分かる。しばらくは、黙ってコーヒーを飲んでいる時間が続いていた。
「疲れた顔してんな」
「苦労が絶えませんから」
はぁと煙と一緒に溜め息を漏らした冬四郎は、飲み干したコーヒーのおかわりを入れにキッチンに向かっていった。




