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7話
むつは横になり、額に手を乗せてふぅと息をついている。まだ吐きそうなのか、時折胃の辺りが痙攣するように動いている。
「大丈夫か?ゆっくりしとけよ」
山上は毛布をむつにかけると、吸いかけだったタバコを揉み消して、灰皿を片付けた。臭いがしないようにとの配慮のようだった。むつはもぞもぞと横向きになると、毛布を頭までかぶった。
ダイニングに行った、山上と篠田は心配そうにはしているが、今はそっとしておこうと冬四郎と話していた。
「急に…気持ち悪くなったのか?」
「みたいです。起きてきた時は、顔色も良さそうだったんですけどね」
「そうか…まぁほっといてやろう」
山上は沸かした湯で、ハチミツレモンを作ってむつが寝ているソファーの前のテーブルに置いた。そして、冬四郎と篠田を連れて部屋から出る事にした。




