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7話
次に目が覚めた時に、またしてもむつは1人だった。ベッドの中は暖かいが、見回しても部屋には誰も居らず、ぐっと唇を噛み締めた。すんっと鼻をすすり、むつは頭まで布団を引き上げた。じわじわと視界がぼやけてきた。袖で、ぐいぐいと目元を拭ってずっと鼻をすすって何も考えないようにしながら、丸まっていた。布団の中は暖かいが、寂しかった。
我慢出来なくなったのか、むつは布団から出た。ぺたぺたと素足のまま歩いて廊下に出た。もうみんな起きているのだろうか。下からも人の声はしない。まだくらくらするが、むつはぺたぺたと歩いて階段を下り始めた。
「お、むつ。起きたか?」
足音に気付いたのか、リビングのドアが開いて冬四郎が顔を見せた。1人にされたむつは、冬四郎の顔を見ても、むすっとしていた。
「悪かったな、1人にして。京井さんが朝ご飯作ってくれてるぞ。今は仕事で1回帰ってるけどな…だから、京井さんも早起きだったみたいだぞ」
階段を下りきると、冬四郎がもう1度悪かったと言って、頭を撫でた。むつは、それだけで嬉しくなりこくっと頷いた。
「よく眠れたみたいだな」
「…はい」




