7話
むつが勝手に外に出た事の説明だけをした冬四郎は、京井が犬に視えるなどの話はしなかった。西原は、京井とこさめが人でない事を知らないからだった。
「ふぅん…呼ばれてた、か」
「えぇ。あ…そう言えば、病院で鈴が凄い音で響いてましたよね?それが外でもあって…」
「凄い音、ですか?反響し続けて振るの止めても鳴り続けてましたけど。そんなに、凄い感じだったんですか?」
冬四郎に聞かれた京井は、はっとした。感じ方が違かったんだなと、冬四郎は察するとそれ以上は聞かなかった。
「病院の時みたいに、鳴り止まなかったんですか?」
「そうですね。それに、あの時は…指切りをしてそれで鳴っただけだったんですが…そこから音が大きくなって、むぅちゃんも怖がってましたから」
「でも…」
冬四郎が、はっとした。
「むぅちゃんが動いても鳴らないですよね?薬を飲みに宮前さんの所に行くにしても、鈴鳴ってませんよ。窓から脱走した時にも鳴ってなかったので…すぐに、むぅちゃんとは気付けなかったんです」
「首輪の鈴とは違うって事ですね」
西原は顎まで湯につけながら、そう言うと、鳴ればすぐに居場所が分かりそうなのにと呟いていた。




