7話
どういう訳だか冬四郎、西原、京井と3人で風呂に入る事になっていた。頭を洗い、身体を洗ってから3人揃って湯船につかっていた。
「…すげぇ広い風呂だな」
ガタいのいい、冬四郎と京井がいても全然圧迫感もなく、まだ余裕で2人は入れそうな風呂に冬四郎は驚いている様子だった。
「この家も大きいですからね。2階の客室にもシャワーとトイレ完備の部屋ありましたし、地下もありますし」
「京井さんは、以前にも来た事があったんでしたね」
初めて大人になったむつに会い、仕事の依頼をした時に京井はここに厄介になった事があった。むつもここには来た事があり、それもあって山上がこの家を提供してくれたのだろう。全く知らない場所よりは、来た事のある場所の方がまだ過ごしやすいだろうという、気遣いからだった。それに、部屋数があるから大人数でも寝泊まりが出来るという点もあっただろう。
「それで…俺にも教えてくださいよ。さっき、キッチンでこそこそ話してた事を」
「…だから、3人で風呂なんて言ったのか」
「勿論。そうじゃなきゃ…何が悲しくて、自分より大きなおっさんと風呂に入りたがる訳ないじゃないですか。ほんと…心折れます」
西原はそう言うと、湯の中に視線を向けた。誰かが入浴剤を入れているから、乳白色の湯になっている。




