7話
食器を片付け終えると、京井はワインを小鍋に入れるとシナモンやハチミツ、オレンジジュースを足して軽く煮立たせた。それをマグカップにいれて、輪切りにしたレモンを浮かせた。冬四郎がその手際の良さを見ていると、京井がほんのりと笑った。
「…谷代君と片車輪が出てきたみたいですからね。湯冷めしないようにと」
「俺も貰っても良いですか?」
「どうぞ。アルコールはほとんど飛んでると思いますけど」
「ありがとうございます」
ホットワインを貰った冬四郎は、シンクに寄り掛かり、ふぅふぅしながら一口飲んだ。温かく、甘く、柑橘の香りが抜けていく感じは、ほっとする物だった。
「お風呂どーぞーっ」
京井の言った通り、ほんのりと顔を赤くした祐斗と片車輪がリビングに入ってきた。
「みやか京井さん先に入ってきたらどうだ?」
山上はまだ呑んでいたいようだった。一緒に呑んでいる颯介と篠田も、まだ立ち上がる気配は無さそうだった。こさめと西原はソファーでうたた寝をしている。
「西原君、先に風呂入って来いよ」
冬四郎が声をかけると、西原は返事をしたが動こうとはしない。
「…一緒に入ってやろうか?さっき、むつとこさめさんに一緒にって言ってたし、1人で風呂入るの怖いんだろ?」
「…良いですね。この前も一緒に入った仲ですし、京井さんも一緒にどうですか?」
祐斗と片車輪にホットワインを渡した京井は、少し驚いたような顔をしていた。
「3人でも入れるくらい広いから大丈夫だ」
山上にそう言われると、京井はそうですかと言っただけで、断りもしなかった。




