7話
「…私は犬に、こさめさんは猫に片車輪は輪っかの…って言ってましたから。人の形を取っている間は人にしか見えないはずなんですが、それが本来の姿で視えてるとなると…そうとしか思えませんね」
「ですが、昨日こさめさんに着替えとか手伝って貰った後、何も言ってませんでしたよ?」
「えぇ…いつからそう見えたのか分かりませんし、もしかしたら…能力があるだけに、猫が服着て喋って人の中に居ても変だと思わなかったのかもしれませんよ」
「いや、流石にそれは…」
ないだろうと言いかけて、冬四郎は口をつぐんだ。人と違う能力があるなら、物の見方も人は違うのかもしれない。だとすれば、猫や犬が服を着て2足歩行をし喋っていても、おかしいとは思わないのかもしれないと思ったのだ。
「記憶がないのですから…能力の事も分かってないかもしれないじゃないですか」
「えぇ…でも、こうして宮前さんが普通に接して下さってますから、おかしいと思っても言い出せなかったのかもしれませんね。むぅちゃん…色々と遠慮してる様ですから」
「遠慮…してるみたいですよね。全然、話してもくれませんし。元々、引っ込み思案な所はありましたけど」
「あ、そうなんですか?わりと人懐こい方で、誰とでも仲良くなるタイプだと思ってましたけど」
「言いたい事、言いますからね。でも…昔は、本当に小さい頃は今みたいな感じでしたよ」
「人との関わりが、人を育てるって事ですね」
「…まぁ、そうですね」