7話
不安を抱えたまま1階に戻ってきた冬四郎は、後片付けをしている颯介と京井の手伝いを始めた。祐斗と片車輪は仲良く風呂に向かっていき、山上は篠田を相手にまだ呑んでいた。こさめはソファーで眠そうにしていた。
「湯野さん…あとやりますから、もうゆっくりして下さいよ」
冬四郎が声をかけると、颯介は少し動きを止め何やら考えるようだった。
「…なら、これだけやったらお言葉に甘えさせて貰うことにしますよ」
何かを察したのか、颯介はまだ泡が残っていた食器を綺麗に水で流して、かごに置くと、冬四郎に任せて山上たちの所に行った。
「京井さん、呼ばれたから外に出たって…さっき、むつが言ってたんですけど」
スポンジで食器を洗っていた京井が、ぴたっと動きを止めた。だが、すぐに洗い物を再開した。
「えぇ…私もそう聞きました。けど、私の耳にはむぅちゃんを呼ぶような声は聞こえてません…ですから、何かかんじとったのかもしれません」
「敵が近くに居るって事でしょうか?」
「可能性はありますね。それに…むぅちゃん能力がだだ漏れしてるようです」
「…え?」
京井の洗ったら食器を冬四郎が、ざぶざぶと流しながら、聞き返すと京井は困ったような顔をしていた。