表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋-狩るモノ-  作者: 幹藤 あさ
404/542

7話

祐斗やこさめ、片車輪の前には茶碗に盛られた飯があったが、むつの前には粥があった。それを一口ほど食べたむつは、そこからは箸をつける事はしなかった。


「もう、いいんですか?」


「…はい。ごめんなさい」


「良いんですよ、気にしなくて。お兄さんの所に行って、お薬貰って飲んできてくださいね」


頷いたむつは、立ち上がると冬四郎の所に行った。冬四郎は、ちらっとテーブルの上を見た。ほとんど手付かずの状態で粥やおかずが残っている。仕方ないかと思い、冬四郎は藤原から渡された薬袋から錠剤の薬をむつの手に乗せた。


「んー胃薬いるか?胃痛い?」


ゆるゆるとむつは首を振った。冬四郎から水を受け取ったむつは薬を飲むと、ごくごくと水を飲み干した。


「…ありがとうございます」


「あ、ちょい待て。ついでに熱計るか?何かまた顔赤くなってきてる」


京井の方に戻ろうとしていたむつを引き止め、冬四郎は自分の膝にむつを乗せた。座らされたむつは大人しく、体温計を脇に挟むと鳴るのを待っている。


「何か、こうして見てると親子だな」


氷の入ったグラスに酒を足しながら、山上が言うと、颯介、西原、篠田が頷いた。


「むつ、俺の膝にも座るか?」


山上が自分の太ももをぽんぽと叩いたが、むつは何とも言えない嫌そうな顔をしただけで、助けを求めるように冬四郎を見た。


「嫌がってますね」


「じゃあ、俺は?」


西原がタバコを片手にしたまま、むつに手を差し伸べると、むつは少し顔を赤くしてうつ向いた。


「えぇ、俺は嫌で西原だと恥ずかしいのか?」


「おっさんとお兄さんの違いでしょうかね」


のんびりと酷い事を言いながら、颯介はくいっと酒を足しながら呑み干して笑っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ