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7話
酒を呑む組み、呑まない組みに別れて座っての夕食が始まった。呑まない方には、むつ、祐斗、こさめ、京井、片車輪が座っていた。
「お前、絶対に呑むだろ‼そんな顔だし」
指を差されながら祐斗に言われた片車輪は、祐斗の手を掴んで下におろさせた。
「人を指差したらあかん。それに、顔で判断すんなや、こう見えても呑まれへんのや‼タバコも吸わへんしな‼」
その意外な発言に、祐斗とこさめが非難するかのように声を揃えて、えーっと言っている。騒がしい3人を無視するように、京井は少しずつ、あれこれと料理をむつの取り皿に並べていく。綺麗に盛られた小皿を受け取りむつは、凄いと呟いた。
「…京井さんが?」
「えぇ、だいたいは私が作りましたよ。みなさんがお手伝いしてくれましたけどね」
「すごい…いただきます」
むつは箸を取り、野菜の煮物を口に運んだ。もごもごとゆっくり噛んで飲み込むと、美味しいと京井に言った。京井は嬉しそうに笑みを浮かべたが、あまり箸の進まないむつを心配そうに見ていた。