7話
だいぶと、汗がひいてくると湯冷めする前にと片車輪に付き添われてむつは部屋に着替えに行った。今度は、颯介と祐斗が買ってきたグレーのルームウェアだった。もこもことはしていないが、丈が長めで長ズボンで暖かそうではあるし、やはりフードには耳がついている。
「耳好きだなぁ」
「あの純粋さのあるむっちゃんには似合うと思ったんですよ。可愛いの着せても文句言わないのは今のうちですよ」
夕食の支度をしながら、さらっと颯介が言うと、山上もだよなぁと同感していた。
「社長さん、包帯ある?」
「あぁ、確か買っといたから…包帯だけでいいのか?消毒液とか…って何に使うんだ?」
「ねぇちゃんの腕の包帯。換えてやらな…濡れて気持ち悪いやろうし」
買い物袋の中から包帯と消毒液などを出した山上は、片車輪に渡した。片車輪はソファーにむつを座らせると、最初にしていた包帯を外した。
「…痛そうな傷やな。ガーゼ置かないとな」
むつの手を取り、怪我の状態を診た片車輪は険しい顔をした。腕には細かな切り傷のようなものが沢山出来ており、手首をぐるっと囲むようにして、真っ赤になり、少しただれたようにもなっている。